11月20日に、「留学生俳句コンテストの選句」をお願い致しました。ご近所のお店、ボランティア団体、大学生、先生方のご家族……等々、100名を超す方々からご回答を頂きました。皆さまのご協力に心より感謝致します。本日、結果が出ましたので、ご報告させていただきます。
参考:「選句のお願い!「2013年度 留学生の俳句コンテスト」
http://nihongohiroba.com/?p=3268
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第一席 時雨降る 国思い出す 山の道 (ポウデルナビン:ネパール男性)
第二席 心まで もみじのように 染まりつつ(韓ゴウン:韓国女性)
第三席 秋の色 赤い葉っぱは 誰染めた (金智焄:韓国男性)
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毎年それぞれのクラスで授業、句会を愉しみながら、クラス代表句を選んでいきます。もう15年以上も続く「留学生達の俳句コンテスト」、今年もすてきな句が選ばれました。入賞した3人には、12月20日の年末パーティーで賞状が渡されました。入賞した3人に直接話を聞きたかったのですが、残念ながら私は参加できませんでしたので、それぞれの担任教師からコメントをもらいました。
第一席 森節子さんよりコメント
学校の遠足で行った山梨県の昇仙峡の景色を思い出しながら俳句を作っていたとき、ナビンさんが「先生、昇仙峡へ行ったときはとてもいい天気でしたが、ネパールでは秋によく雨が降ります。山の道を歩いていて、もし雨が降ったら本当にネパールみたいです。懐かしい気持ちを俳句にしたいです。」と言いました。ふと彼の手もとを見ると、紙の上に「雨が降って」「山の道」「国を思い出す」「懐かしい」などと、鉛筆で書かれていました。「秋の終わりの雨を「秋時雨」というけれど……」と話したのですが、短い俳句の中に全部のことばを入れることはできず、ナビンさんは長い間考えていました。そして、生まれた「時雨降る、国思い出す 山の道」の句。彼の俳句を見た瞬間に、ナビンさんが故郷を思う気持ちと、心の中にある風景が私の胸の中に飛び込んできて思わず涙ぐんでしまいました。
第二席 小林学さんよりコメント
ゴウンさんは普段とても大人しい学生ですが、とても素直な感性の持ち主で、この句もあまり考えずに詠んだと言っています。私が「この時、どんな気持ちだった?」「情熱の赤?愛情の色?」とこまかく尋ねても、「いや、なんとなく見ているうちに染まっていく感じ…」と笑いながら答えてくれました。この感覚的で自然体なところが選者の心を捉えたのかもしれません。
第三席 西川幸人さんよりコメント
秋に学校でのバス旅行で山梨の昇仙峡に行ったのですが、その場所の風景を思い出して作ったそうです。昇仙峡も紅葉が始まっていて、木々が上のほうから赤くなってきていました。赤い葉っぱを見て、ただ葉っぱが赤いじゃつまらないので、誰が染めたの?という風に質問してみたくなったそうです。「誰が染めたの?」「秋だよ。」という会話風に工夫して作ってみたそうです。本当に自然と会話しているようで、すてきな俳句ですね。