観客と作り上げる落語ー留学生の落語鑑賞会

二席目「ときそば

二席目「ときそば

扇生さん 食べるしぐさ

扇生さん 食べるしぐさ

身を乗り出して聞いている留学生

身を乗り出して聞いている留学生

イーストウエスト日本語学校では、1月になると落語鑑賞会が開かれます。これは上級クラスの学生を対象にし、日本文化、日本語の面白さを体験してもらいたいと、授業の一環として始められました。実は、15年ほど前、知人の桂扇生さんにお願いしたところ、「留学生に落語、いいですねえ。やりましょう!」と快諾してくださったことから、毎年冬に実施することと相成りました。

いつも学生達の笑い声がホールに響きわたるのですが、今年は特にノリノリで、身を乗り出すようにして聴いている学生、大声で笑い転げている学生が多く、終了後、反省会を兼ねた桂扇生さんとのランチでも、大いに話題になりました。以下、扇生さんのお話をお伝えしたいと思います。

「落語は観客とともに作っていくもんだから、やっぱり学生さんのお蔭ですよ。落語家と観客と、同じ空気を吸っている人同士で作り上げていくのが落語。高座が作っているわけじゃない。だから、CDとかDVDもあるけど、落語はやっぱり生が一番。一体感が大切だから。聴いてくれている学生さんの反応で、こっちも変わってくるし、新しい「何か」が生まれるんで……。いやあ、今年はなんか、すごかったですねえ~~~」

私は、この話を聞きながら、「日本語の授業」と一緒だとつくづく思いました。授業は教師が教案を準備して、それを学生に伝えていくものではなく、その場の空気をいっしょに吸いながら、学習者とともに作り上げていくものです。学生が変われば、授業の流れ・内容も変わってくるわけですが、どうも型にはまった授業展開が多くみられるような気がしてなりません。日本語教師は、もっともっと落語から学ぶことがあるのではないでしょうか。

今年の落語は、「まんじゅうこわい」と「ときそば」でしたが、特に「まんじゅうこわい」は大人気でした。これは『たのしい読みもの55 初級&初中級』にも出ているので、お馴染みの落語です(この教材では、声優さんが「読みもの」としての「まんじゅうこわい」を読んでいますが、それに加えて扇生さんの「落語:まんじゅうこわい」が収録されています。ぜひご覧ください)。

学生達は、小噺にお腹を抱えて笑っていましたが、言葉が難しく、「えっ?」という顔をすることも度々でした。しかし、こうした「何だろう?」という思いが、次の学びへの意欲につながっていくのだと思います。

では、ここで参加した学生の感想文をご紹介します。学生達の生の声に触れてみてください(すべて本人の許可をもらって、掲載しています)。

留学生の落語感想文 

→金周賢さん(韓国)、オレーシャさん(ロシア)、曾愛倫さん(台湾) 

♪   ♪   ♪

最後に、これまでにホームページに書いた落語関係の記事をまとめておきます。

◆「留学生の落語鑑賞会はサイン攻め!」(2013.2)http://nihongohiroba.com/?p=2912

◆「留学生の落語鑑賞会」(2011.1) http://nihongohiroba.com/?p=1050

◆「留学生の「ミニコント作り」を生んだ落語鑑賞会」(2010.1)  http://nihongohiroba.com/?p=451

◆「こんなに笑える自分にびっくり!-留学生は落語に夢中」(2009.1)http://nihongohiroba.com/?p=184

◆「落語・らくご・RAKUGO」(2008.1) http://nihongohiroba.com/?p=267

 

 

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