李朕緯(リー チェンウェイ)さんは、今年7月11日にワーキングホリデーとしてイーストウエスト日本語学校に入学しました。来てすぐに中野区のボランティア募集のチラシを見た李さんは、「私も行こう!」と東松島行きを決心しました。今日は、そんな李さんにインタビューしてみました。
■7月に来日するにあたって不安はありませんでしたか?
地震ではあまり心配しませんでした。原発はちょっと心配でしたが、私は必ず来ようと決めていたので、ぜんぜん迷いませんでした。両親も何も言いませんでした。日本の大学院で勉強したいという気持ちがあるから。だって、もう仕事もやめて準備していました。だから、早く日本に来るほうがいいと思いました。ああ、それから、友達が東京にいて「ぜんぜん大丈夫だよ」って言っていたから、私も心配しませんでした。
■どうして日本留学を選んだのですか?
昔から日本に興味がありました。アニメとか、いろいろ文化とか、日本が好きでした。だから、機械設計を勉強するなら、日本の大学院で勉強したいと思いました。それに、日本に来る前は、台湾の日本の会社で働いていました。大学院を卒業したら、日本で働きたいと思ってますよ。
■どうして災害支援ボランティアに参加しようと思ったのですか?
実は、3.11の時、弟は東京にいました。すごく心配したけど、無事でした。だから、自分が7月に日本に行ったら、絶対に何かボランティアをしようと思いました。それは当然ですよ。弟は、そのとき日本語学校に通っていたけど、今は専門学校で勉強しています。弟は、3.11のあと、春休みも、夏休みも帰っていません。
■ボランティアはどんなスケジュールでしたか?
朝9時から3時まで作業です。ルールは、20分働いたら、10分休憩。でも、みんな休憩しない。お昼は1時間ぐらい。コンビニでお弁当を買ってきて食べました。3時に終わってからは、ホテルに帰って、お風呂に入って、あとは自由時間。松島の観光スポットをいろいろ見ました。
びっくりしたのは、夏休みの時だったのに、人がすごく少なかった。例えば、観光船の人は、いっぱいいるんだけど、お客さんがぜんぜんいないから、港の休憩所で、すごくつまらなそうにしていました。せっかくきれいな自然があるのに、お客が誰もいない。
■どうしたら松島の復興がうまくいくでしょうか?
すばらしい観光があるんだから、それを使って活動したらいい。10月にはマラソン大会をすると聞いたけど、そんなことをドンドンやっていったらいいと思う。僕は、松島に行く前は、「津波が来て、松島のきれいな松はみんな倒れた」と思っていたけど、それは違いました。それはほんの一部。実際に行ってみると、ほんとうに景色がきれいで、びっくりしました。
だから、テレビのCMでも、このきれいな松島をどんどん放送したら、観光客も来るようになると思う。ポスターも松島の景色を使ったら、みんなのイメージが戻ると思います。
■台湾も地震が多いから、「地震に強い李さん」なのでしょうか?
台湾も地震は多いですよ。でも、1999年の921大地震の時も、私は桃園だから、夜1時ごろの地震でも寝ていました(921大地震は台湾中部の南投県集集鎮で発生し、台湾では20世紀最大の地震と言われています)。
でも、日本に来て1ヶ月ぐらいだけど、もう何回も夜中に起きました。以前は、「台湾人だから、地震なんて慣れているから、ぜんぜん気にしない」と言っていたけれど、今はちょっと違う思いです。日本は今、地震が多すぎますよ。
■最後に何かひと言・・・・・・
ニュースは、いつも悪いこと・ところばかり放送します。だから私は、あまり心配しないようにしています。ちゃんといろいろなことを伝えてほしいと思います。きちんと伝えたほうが、みんな行動しやすくなるし、ニュースを信じて生活することができます。でも、今は、いつも悪いところばかり言うので困ります。
本当ですね。ニュースでは問題のところばかり流すから、美しい松島がちゃんと残っているんだって忘れていました。
そういう変わらない姿をニュースで流すことも、復興支援になるに違いないですね。