各国料理を作って愉しむ「年末パーティー」

乾杯!

イーストウエスト日本語学校では12月19日に「年末パーティー」が行なわれました。30のクラスが午前・午後に分かれて、クラスごとに個性豊かなパー ティーを繰り広げました。留学生にとって、この日は1年の授業の最後の日であり、日本語を使ってみんなで料理を作り、語り合い、ワイワイガヤガヤ楽しい時 間を過ごせるスペシャル・デーなのです。

朝玄関には、大きな買い物袋を提げた留学生、飲み物をいっぱい詰め込んだ袋やみかん箱を抱えてやってくる留学生がたくさん見られました。先生方はと言え ば、お鍋、フライパン、コンロまで入っている「キャスター付きカバン」をガラガラと引っぱっての出勤です。こうして留学生と日本語の先生方との共同作業が 始まりました。

いつも日本語を勉強している教室は、「台所」に早代わり。クラスの構成メンバーによってパーティーの方式・内容はさまざまです。一緒にお料理を作ること をメインにしているクラス、出来るだけ料理の時間は短くして「一緒に語り合う」「ゲームをする」ことに時間を使いたいクラス。思い思いに師走の一日を楽し みました。

みんなでキンパップ作りに夢中です。

M4クラスの今日のハイライトは、先生と留学生が一緒になってワイワイ始めた韓国の海苔巻き「キンパップ」作りです。お料理が大好きなパク・ヒョジン (朴孝珍)さんが用意した材料を前に、みんなで並んで海苔巻き作りが始まりました。パクさんは、来年4月からは専門学校で料理を勉強することになっていま す。そのパクさんにちょっとインタビューをしてみました。

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私は、料理を作ることが大好きです。そして、日本料理にすごく興味があるんです。韓国にいる時は親戚の「日本料理の食堂」で働いていました。昔から日本の料理に興味があったので、いつか日本でもっと勉強したいと考えていたんです。

小さい時から日本の文化には興味がありました。それは、近いけどすごく違うイメージだからです。韓国には中国から影響を受けた儒教がありますが、日本にはあまりその影響はありません。それが良いとか悪いとかじゃなくて、考え方とか行動が違うなと思います。

好きな国で、好きな料理の勉強が出来るのは、本当に幸せです。韓国と日本の料理も違いますよね。韓国は、いろいろ材料を使って派手なイメージですけど、日本は簡単で素朴なイメージです。でも、何か深いっていうか……。細かい部分まで気をつかっているのがよくわかります。

日本で5年ぐらい働きたいと思っています。そのあとは、帰国して、自分自身のお店を出したいです「本当の日本料理」を韓国人の口に合うようにアレンジした自分のお店を持つこと、それが私の夢です。

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左:キムさんが作った見事なケーキ。右:手作りの会場作り。

次にM5クラスに入ると、素敵なクリスマスケーキが3つも目に飛び込んできました。なんとこれは、韓国の男子学生キム・ソクミン(金錫ミン〔王偏に民〕)さんが昨日自宅で作って持ってきたものでした。今度はキムさんにインタビューを申し込みました。

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私は、子どもの頃からケーキが大好きで、「大人になったら人を喜ばせることができるお菓子を作りたい」とずっと思っていました。

韓国のケーキ屋さんで3年働きました。でも、日本のようにお菓子作りのシステムがしっかりしている専門学校がたくさんある所で勉強したいと思って留学しました。

特にパイとタルトを集中して勉強したいです。パイとタルトは果物とよく合うでしょう。そして将来は韓国でケーキ屋を開きたいです。

そのお菓子の店は、ただお菓子を売る店じゃなくて、遊園地に入ったような感じの楽しいケーキ屋です。インテリアも考えて、いろいろなイベントもやっ て……。例えば、お母さんたちが作ったケーキを子どもたちが審査するケーキ・コンテスト。それから、お母さんと一緒に子どもが楽しみながら作れるケーキ教 室。そんな夢を持っています。

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30ものクラスを回って美味しい料理を食べながら、さまざまな国から来た留学生との会話を楽しみました。日本に来る留学生たちの多くは、日本の大学・大 学院で勉強をしたい、専門学校で技術を身につけたい、日本の企業に就職したいと「大きな夢」を持ってやってきます。みんな自分の夢を話し始めたら止まりま せん。「年末パーティー」は、そんな留学生たちが協力して準備をし、自分たちのパーティーを作り上げていく、とても「楽しいイベント」の一つなのです。

しかし、実は今、進路に関して悩みを抱える留学生たちが増えています。急激な円高で日本で進学することを迷い始めているのです。たとえばこんな韓国から の留学生もいます。せっかく第一志望の大学に合格し、入学金は払ったものの、そのあと収める授業料が工面できず悩んでいるAさん。この急激なウォン安で、 これまでの綿密な「留学計画」が大きく狂ってしまったのです。

世の中には、内定取り消しに遭い、慌ててもう一度就職活動に奔走している人もいれば、突然解雇を言い渡された社員もいます。どこもかしこも「寒い風」が 吹いている昨今ですが、大きな夢を抱いて来日した留学生Aさんが、「合格通知」を手にしながら、日本での勉学を諦めて帰国することがないことを願ってやみ ません。

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