『外国人のための防災訓練』に参加して

防災訓練のお知らせ

防災訓練のお知らせ

10月10日のお休みの日、中野区国際交流協会主催の防災訓練が行われました。これは区内に住む外国人を対象としたもので、「中野区駅前南口町会」「中野区」「中野消防署」「なかのZERO」「イーストウエスト日本語学校」が共催団体です。

参加した外国人は4つのグループに分かれ、午前中2時間かけて、順番に4つの「課題」を回って体験するというスケジュールです。4つの「課題」とは<地震体験><煙体験と消火器使用><家具の固定に関する話><人命救助>です。

地震体験

地震体験

1.地震体験
何人かでグループになり、地震が来た時にどう行動すればいいかを体験します。軽震から徐々に揺れは激しくなり、ついには震度7を体験するという工程です。机の下に頭を隠す前に、ガスの火を消す人、ドアを開ける人、ブレーカーを落とす人、それぞれに「任務」が与えられています。当校でも新入生にはできるだけ池袋防災館や本所防災館で地震体験をしたり、防災関連の知識を得たりしてもらっていますが、初めて参加した学生には貴重な体験だったようです。

いざ煙体験ハウスへ

いざ煙体験ハウスへ

2.煙体験と消火器使用

消火器の使い方

消火器の使い方

煙体験は私も参加しましたが、もうもうと立ち込める煙の中を歩くのは、いかに大変かがよくわかりました。今回は目や鼻にやさしい煙でしたが、実際にはそうはいきません。その場になったら、きっとパニックに陥ってしまうことでしょう。
煙体験が終わると消火器の使い方を学びます。留学生達は「見たことあるけど、使うのは初めて」と、真剣な顔つきで参加していました。

家具の固定サンプル

家具の固定サンプル

3.家具の固定に関する話
これは引率の私には耳の痛い話です。「いつかやろう」と思いながら、いまだに大きな食器棚でさえ、そのままになっている状態です。3.11を経験してからというもの、防災グッズを揃えたり、避難方法について家族と話し合ったものの……。留学生達はとても興味深そうに話を聞いていました。何人かの学生は、器具でトントンと壁を叩き、どこを固定したらいいか調べる作業をしていました。

人命救助1

人命救助1

4.人命救助

人命救助2

人命救助2

人命救助の訓練では、二人ひと組になり、心臓マッサージを体験しました。救助隊員の説明を聞いたあと、AEDを使用した救助方法も学びました。参加した留学生達は、消防署員のデモンストレーションを見ながら、必死に日本語を理解しようとしていました。第4班は、中国語・韓国語・タガログ語の通訳がつき、他の言語に関する通訳はいないものの何人もの「やさしい日本語ボランティア」の方が対応してくれました。
※AEDは、Automated External Defibrillatorの頭文字をとったもの。日本語訳は自動体外式除細動器。

「やさしい日本語」ボランティア

「やさしい日本語」ボランティア

2時間の防災訓練が終わって、ランチタイムとなりました。一人ひとりに非常食のご飯

非常食と豚汁をいただきながら・・・

非常食と豚汁をいただきながら・・・

と、たっぷり具の入った豚汁が配られ、ワイワイ言いながら「ランチタイム」が始まりました。

「地震の時、日本にいたの?」
「いいえ、4月に日本に来ました」
「じゃあ、地震のあと日本に来たんだ。がんばってね」
「私は、一回国へ帰りました。お母さんたちは行かないで、と言いましたけど、私はやっぱり日本に来ました。日本、好きです。日本でアニメ勉強したいですから」
「アニメ、人気があるんだね」
「私、ああ、10月3日、日本」
「へえ、先週、日本に来たの!」

この企画は、「中野区に住む外国人が地震の際に困らないように」ということから始まりました。今後もあちこちでさまざまな工夫を凝らし、新たな企画が生まれてくることでしょう。今回は外国人に特化した訓練でしたが、日本人と一緒に暮らし、日本人と一緒に社会を作っていることを考えると、「外国人のための・・・」ではなく、むしろ一緒になってやる防災訓練を考えることも大切だと思います。その時には、慣れない日本で暮らす外国の人への配慮を忘れてはなりません。文化の違い、言葉の問題、これから解決すべき課題は山積みです。

緑班の記念撮影

緑班の記念撮影

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