「ミニドラマ撮影」を体験して 協同性を大切に

先日「留学生が『ミニドラマ撮影』を体験」という特別授業に関する記事を書きました。今日は、留学生がその特別授業で感じたこと、担当した2人の教師の思いをご紹介したいと思います。

参考記事: 「留学生が『ミニドラマ撮影』を体験」

撮影の仕方を楽しそうに聞いている留学生

◆留学生のAさん
ふだん知りたくてもなかなか機会を持つことができなかった放送系のことだったので、とても興味深く臨みました。家では何も考えずに、ただボタン押しだけ で簡単に見られるテレビが(昨日の専門学校の先生の話は、ものすごく単純な話だったけど)、非常に複雑な過程で作り上げられるのだと思いました。一番感じ られたのは協同性!1人ひとりがばらばらになったら、絶対にいい作品は出来上がりません。多様な人々の働きが1つになってこそ、すてきな作品が作れるのは とても難しいけど、その分やりがいもあるはずです。幅広い世界の一面だけでも味わえて楽しかったです。

◆留学生のBさん
普段できないことをやることができて楽しかったです。放送用の機器などには関心があったので、実際見ることができてよかったです。短い部分をとるのに、 あんなに時間がかかるとは思ってなかったので、ちょっと驚きました。撮影は大変だと、今までよりずっとよく分かるようになりました。

◆留学生のCさん
かなり放送に関心があっても、なかなか放送関連のこととかを習える機会がなかったが、実際にいろいろやってみて、今まで知らなかったことや、知っていて も正しくなかったことを習えるいいチャンスになった。放送関連の仕事がやりたいが、くわしくどんなことをする仕事か分からなくて、悩んでいた私にとって、 今回の特別授業は、将来の夢を決めるのにとても役立った。やっぱり本で習うだけではなく、実際に体験することが大切だと思った。

◆留学生のDさん
カメラで見える世界は、とても小さくて、その小さな世界に自分の世界を入れて、ふつうの時とは違う新しいものを作る発想は、放送だけの長所だと気がつき ました。また、ちょっと苦しいかもしれない作業を、楽しくしている専門学校の先生達を見て、やりがいのある仕事だと思いました。画面はうそをつかない。 撮っている人やこの世を少しずつ映している。放送って、人間より正直なものかもしれないと思う1日でした。

◆留学生のEさん
映画とかドラマを見ると、時々どのように撮影するのだろうと気になっていたんですけど、今日実際に見てみると、「あ〜、このように撮影するんだ!」と か、カメラが撮る位置によって、異なることなどいろいろなことが体験できてよかったです。画面に出る人だけではなく、照明、音響などの大変さも知ることが できて、新しい経験ができました。

■担当した日下倫子講師
教材で「メディア」について取り上げるたび、1度学生たちに自分たちの手で「番組を作る」経験をしてもらいたいと思っていました。テレビの画面というの はどの1つをとっても作り手の意思、選択が反映したものであること、原稿の言葉も書き手がどの位置から見るかで選ばれる言葉が違ってくることーそういうこ とを実感すると、テレビの見方は全然違ってくると思うからです。これは、今の時代を生きていく上で、誰にとっても大切な力“メディア・リテラシー“でしょ う。

今回担当しているクラスにはマスコミ志望者が何人かいるのですが、まだみんな「カッコいいから」「テレビが好きだから」その道に進みたいという単なるあ こがれでしかなく、作る側の視点というものを全く意識していないので、このままでは、メディア関係の学部に進学しようにも面接でろくな受け答えができない と心配していました。

そこで、嶋田に相談したところ、卒業生が何人も進学している東放学園に働きかけてくれ、今回の特別授業が成立しました。

結果としては、私が想像した以上に多くのものを学生たちは学んでくれました。上記の感想以外にも、監督の適切な指示を聞くことで「人にイメージを伝える 表現力」というものに気付き、そのためにはもっともっと豊かな日本語を身に付けなければ自分は日本でメディアの勉強をすることは難しいと、俄然学習に力が はいった学生もいました。私がいくらことばを尽くしても伝わらなかったことが、たった2時間、実際に自分たちがやってみることで、「理解」できたわけで、 体験というものの大切さを改めて感じました。

今回は見るだけに終わってしまった学生の中からも「次は自分もやってみたい」という言葉がでていましたので、次はクラスの中で何らかの映像作品を作ろうと考えています。

■担当した森節子講師
進路に関して学生に希望を聞くと、放送技術や映画制作などに関心を持つ学生が多いのに気づきます。いつも学生たちの目的に合った学校を一緒に探すのですが、やはり中心になる資料はその学校の「学校案内」でした。

今回、東放学園の方のご協力で、学生が「ドラマ制作体験」をさせていただきました。私自身、「ドラマ制作」とはどんな段階を踏むものなのか、どのような スタッフが必要なのかなど、頭の中で漠然としかわからなかったことを実際に、具体的に見て理解することができました。これからの進路指導にも得るところが 多く、教師である私も学ばせていただけたと思います。

留学生Aさんの言葉をもう一度ここに書き記します。

「一番感じられたのは協同性!1人ひとりがばらばらになったら、絶対にいい作品は出来上がりません」

日本語学校における教育実践も同様です。1人ひとりの教師の個性を重視し、クラスを担当する教師間の十分な話し合い(通常3名で担当しています)、他の クラスや教務スタッフとの協働によって、良い授業が生まれていきます。これからも「協働性」と「同僚性」を大切にして学校作りを進めていきたいと改めて感 じさせられました。

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