酒井久美子氏:「私が愛したハナレイ」をテーマに写真展

写真の前で久美子さん

6年前にJALを退職し、その後も写真家として活躍する酒井久美子さんが、今年また「私が愛したハナレイ」をテーマに写真展を開き、大勢の目を楽しませてくれました。ここで、ぜひ酒井さんの生き方、新しい御本を皆さまにご紹介したいと、記事を書くことにしました。(※ハナレイ=ハワイのカウアイ島にある町)

酒井さんは、大学では仏文学を学び、就職したJALでは宣伝部に配属され、いきいきと仕事をしていました。しかし、31歳のとき、「私が本当にやりたいことは何だろう?そうだ、写真を勉強しよう!」と写真専門学校の夜間部に通い始めました。

激務を終えてからの専門学校生、そして帰宅すると家事が待っていました。さらに、作品作りという「課題」があります。心ゆくまで撮影をしていると、白々と夜が明けることは度々だったと聞いています。そうして2年間の学業を終え、迎えた卒業式では、作品が優秀賞に輝きました。

会場で記念撮影

そんな酒井さんに大きな転機が生まれました。卒業後すぐの時でした。急遽カメラマンが必要になるという事態が生じ、酒井さんは上司にこう切り出しました。「実は、私は、2年間ずっと写真学校に通い、この春、卒業したところです。もし……」。こうして酒井さんは、ヘリコプターに乗り込み、写真家として第一歩を踏み出すことになったのです。

誰にでもチャンスは巡ってくるものです。でも、その時、こちらにそれだけの準備がなければ、うまく繋がりません。彼女の「JALの写真家」としてのスタートは、常日頃、時間をかけて自分自身を育てておくことが大切だということを、私たちにしっかりと教えてくれました。

それからの写真家酒井さんの活動は、実に見事でした。自分が納得する写真を撮るため、真摯に努力をし続け、見事なJALのポスターを次々に生み出していきました。一方で、仕事の合間に出逢った世界各地の猫ちゃんやワンちゃんと向き合い、温かいまなざしでシャッターを押し続けてきたのです。

『街角の記憶』

写真展は、今日をもって終わってしまいましたが、『街角の記憶』という素敵な写真集が今月出版されました(SANKEI EXPRESSに2年間連載した「街角の記憶」107作品)。

ぜひ手に取ってご覧ください。

実は、酒井さんとは、高校時代からの友人で、もう50年以上のお付き合いとなります。大学卒業以来ずっと仕事を続ける彼女は、何事にも全力投球で走ってきました。その生き方は、専業主婦時代の私に大きな影響を与えてくれました。「いつか私も久美子さんのような「仕事人生」を送りたい!」、そういう思いは、日に日に強くなっていったのです。こうして私が今、幸せな「仕事人生」を続けていられるのも、素敵な仲間との対話があり、仲間によって支えられてきたからだと、改めて思いました。

最後に、写真展のパンフレットにあった「すてきな言葉」をお伝えしたいと思います。

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「写真展」のお知らせ

ハナレイを最初に訪れたのは
いつだったろう。
少なくとも20年以上前に
なることは確かだ。
それ以来、ほぼ毎年行っている。
海に突き出た屋根を持った桟橋は、
昔のままの姿である。
小さな町と砂浜と
そして桟橋があるだけのこの場所に
私は魅せられた。
この場所には永遠がある。
早朝から夕日が落ちるまで、
ある時はほんの数人、
ある時はとても多くの
人々が海辺を散策し、サーフィンをし、
そして愛犬を連れてやってくる。
そんな一日を私も共に過ごすのが好きだ。
二十数年何一つ変わらない情景。
それこそが永遠だ。
刻一刻と変化しつづける波と雲は、
次々とまったく新しい情景となって
いつまでも見ていてもあきることがない。
そうした変わりつづける
浜辺の風景もまた、
何も変わらない永遠の一部なのだ。

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