モノの見方を変える交流授業

毎年4月には、「異文化コミュニケーション」を受講している大妻女子大学の学生さんと交流授業を行っています。今年も、伊東武彦先生に連れられて、25人の大学生がやってきました。

まずは大学生のプレゼンテーションを留学生が聞き、それからディスカッション。次の時間は選択授業「会話コース」の留学生と大学生とのフリートーキングです。

プレゼンでは「ぜひ知ってもらいたい日本」というタイトルのもと、それぞれが好きなテーマで発表しました。お寿司/駄菓子/お弁当といった日本の食べ物から、ファッション文化、神社とお祭り、さらには「すみません」という言葉の使い方までありました。このプレゼン企画は「同年代の視点から見たものを伝えることで、それをきっかけに双方が自分の文化を発信しあうきっかけになるのではないか」という伊東先生のお考えで始められました。
確かにプレゼンを軸として、次の話し合いが膨らんでいったり、大学生のプレゼンを見ることで、イーストウエストでのプレゼン授業と比較したり、さまざまな副産物がありました。プレゼンのあとは、グループ・ディスカッション。そして、最後のランチタイムは、ワイワイガヤガヤお弁当を食べながら話が弾みました。

大学生による駄菓子の説明

ハッピを着せてもらって嬉しそうな留学生

大学生のプレゼンを真剣に聞いている留学生達

グループでの話し合い。アドレス交換もしています

わずか数時間の交流授業で何かが大きく変わるわけではありません。しかし、こういった交流授業では、違った物の見方が生まれ、多角的に物事を捉えるきっかけになります。中にはアドレス交換をして早速週末に会う約束をしているペア、グループもありました。今回は、参加大学生に「感想メール」を課題として出したのですが、なんと全員が翌々日までには送ってくれました。その中からいくつかの意見をご紹介したいと思います。

○将来的に日本の文化を海外に発信していける業務に携わっていきたいと、人生設計している最中です。交流授業を通して、日本人に対して興味を持ってもらえるような情報発信のアイディアが沸いてきました。

○「日本語教育を通して、海外と自国の架け橋になる」そんな日本と海外との距離を近づける力があるのは、先生方であって、実は総理大臣なんかよりもっと大きな力と影響力をもっているのかもしれません。

○「来日前に持っていた日本に対するイメージが、来日後に変わってしまった」という声を複数の人から聞いたことが、とても悔しかったです。「日本人は親切だ」というイメージを持って来日した留学生が多かったようです。しかし、実際には……「年配の人に席を譲らない/駅などで肩がぶつかっても謝らない/道などを聞こうとしたときに断られる」などの体験をして、非常にショックを受けた人もいました。私自身、気になっていたことで、それを指摘されたことがとても辛かったです。改善されるどころか、悪化しているような気にさえなります。これは文化ではなく、マナーの問題だと思いますので、そういう人が多くいることに同じ日本人という意識から悔しい、恥ずかしいという気持ちになりました。

また、私は個人的に、最近のニュース(特に特急の電車内での痴漢事件など)や自分の体験によって、助けてもらえないという恐怖にぞっとするような思いを感じていました。これが異国の地であったならと思うと、私はもしかしたら、母国に帰りたくなるかもしれません。留学生達が日本での生活の中で、日本を嫌いになってしまうような悲しいことがあっては、お互いによくないと思います。

○台湾の人が「英語や中国語で話をするとキツイと言われる。けれど、日本語で話すとキツイと言われない。不思議だ。私の性格は本当はキツイんだよ」と言っていました。日本にいて日本語を話すと相手を察する気持ちが自然と出るんだなと思いました。日本語は人を優しくする力があるようです。外国に行ったら日本人は物事をはっきり言わないので、優柔不断に思われるかもしれません。でも、調和を保つようなたくさんの表現が日本語にはあります。

○また外国の方から日本がどんな風に見られているのかが分かりました。生徒さん達の質問はおもしろいものばかりで、

「何で日本の男はデートの後に彼女を家まで送らないの?」
「何で日本の女子高生はスカートをあんなに短くするの?見てるだけで恥ずかしくなっちゃうから困る!」
「何でサラリーマンは皆黒のスーツなの?もっとおしゃれなのを着ればいいのに。」
「何で日本人はワリカンばっかりするの?このあいだバイト先に14人の団体が来たんだけど、全員がワリカンしたからレジが大変だった!!」

など…挙げるときりがありませんが、生徒さんと色々な話が出来て本当に楽しかったです。その後のお昼ご飯の時も生徒さん達とお話をしましたが、その時もわからない日本語を聞いてくる人が多く、生徒さん達が皆勉強熱心なことに驚きました!!

「『本気』と『真剣』と『マジ』の使い分けを教えて」と言われて少し戸惑ってしまいました(笑)

留学生たちも、日本の大学生と話し合えたことがとても嬉しかったようです。

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