そして、何よりも映画製作をめざしていた出町氏が、陶芸家として人生を歩むに至ったことに関心が集まりました。日本語学校で学ぶ留学生は、これからどう人生を歩んでいこうか真剣に考えている人が多いからなのです。
「この釜はヒビだらけでしょ。いろいろ悩んでやってきた僕の人生もそう。だけど、こうやって陶芸や町おこしを通して、みんなとコミュニケーションできることが本当に楽しいんです」という出町さんの言葉に、留学生達は大きくうなずいていました。最後の30分は作品作り。みんな粘土であれこれ思い思いの作品を作っていました。留学生達に感想を聞いてみました。
A「めっちゃ、楽しかった。一緒にモノを作るっていいですね」
B「『陶芸は、人と人とをつなぐツール。誰とでもどこででも人とコミュニケーションできるのが粘土の良さ』っていう出町さんの言葉が心に残っています」
C「陶芸の技術は、韓国から来たんですよね。イチョン(※利川)のことを言われて、とても懐かしかったです」
(※注:韓国・ソウルから車で約1時間の利川市は、陶芸の街として有名。品質の高い青磁や白磁の産地で、多くの窯場が集まっている。最近では、日本からの観光客も多く訪れている)
留学生が作った作品は2月には焼きあがって彼らの手元に届けられます。こんな小さな心の通った文化交流の積み重ねが、国と国とをつなぐ架け橋になっていくのだと思います。