「日本の大学に期待します」 留学生の教育論

投稿者 梁銀仙(韓国)イーストウエスト日本語学校
2009年2月10日投稿

 学校は教育を目標として存在する特別な機関だから、その目標に合わせて学生を指導するべき義務と責任があると思います。これは昔ながらに学校が持っていた純粋な役割だったし、今も学校というものはそのために存在しているのだと考えています。

 しかし、時代が変わってもただ理想的なことを求めたり、机上の空論と言われるようなことばかりやっていたら、時代の流れから離れてしまって、大学に進学を希望する人々は大幅に減る結果になる、ということも憂慮すべきです。では、教育の本来の目標と現在の状況を考え合わせて、どんなことを大学で教えるべきかと考えてみました。

インターンシップと大学教育

 最近、大学と企業が提携して、大学生が社会人になった先輩の下で、仕事に必要なことを教えてもらえるというシステムを導入している大学が増えているそうです。
 
 一方、このようなシステムについて、「ただ、今起こっている問題点を解決するだけだ。ノーベル賞のように新しい発見やもっと深い研究などがだんだんできなくなってしまう」と危惧する声もあります。 
 
 この意見、危惧の声について考えてみました。私は、この難問を解くことができる「キー」を大学が持っていると思います。その「キー」は、学生たちに物の考え方を示唆するべき大学の教育の制度、順序、方法にあるかもしれないと思います。

 従って、大学はただ知識を注入するようなやり方、例えば「Aという事故があったらB(の解決法)」という答えを与えることより、その前に自分の力で考えて色々な答えが出てくる可能性があることに気づかせ、考えさせる機会を作るべきだと思います。ただ問題解決の一例を挙げるだけにして、学生たちは、もうすでに出た答えに頼るのではなくて、多様な立場から問題にアプローチする能力を鍛えることが今の大学がするべきことだと思います。

 これを1、2年生のうちに集中的に学ぶようにして、その間に学生は授業の希望をいろんな可能性から探し、そのために必要なインターンシップに学科課程で入ったらいいと思います。その際に、学生が考えてみた方法を試したり、また実際に経験しながら自分がそれまでに考えられなかったことを発見したり、経験が多い先輩に助けてもらったりしたらいいと思います。

 その課程の中で自分が足りなかった点や、もっと深く研究したいことや、全然考えしなかったことなどに気づくと思います。その結果、学生が就業を選んだり、研究を続けたりという選択をすれば学生たちはもちろん大学、企業にもいい影響を与えられると思います。

 もしかしたら、企業と大学の提携や、早期からのインターンシップ制度などは、企業が変わり、それに大学が適応するために起こるべくして起こったことかもしれません。企業が変化したら、もう合わない旧来の制度が時代に合わせて変わることは当たり前のことでしょう。が、未来の大学が存在している意味を問い、本来の存在意味を忘れずに、社会の変化を取り入れ、一歩一歩進むことが今の大学がしなければならないことだと思います。危機をチャンスに変えて進化する大学を期待します。

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