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フィンランドから学ぶこと
■移民のためのフィンランド語学習の充実
定住外国人のための日本語学習権の保障について議論している私たちには、フィンランドの事情は、夢のような話でした。移民はフィンランド語の授業を受ける権利があり、公立の教育機関では授業料は無料、教材も無料支給、しかも1日3時間、週5日の授業という設定です。この講座が職業安定所主催の場合には、最低賃金として1日40ユーロが支給されると聞いて、ただただびっくり! ただし、この背景には、消費税23%(2010年7月に改正があり、22%から23%となる)という事情があることを忘れてはなりません。
■移民の母語教育の充実
フィンランド社会で生きていくため、仕事をしていくためにひたすら「フィンランド語を学ぶように」という姿勢ではありません。彼らの母語を学ぶ保障もきちんとしているのです。例えば、日本語を母語とする子どもが1人でもいれば、その子どもたちのための「日本語教室」が開かれるそうです。こうした姿勢は、日本社会も大いに学ぶべきだと強く思います。みんなが住みやすい、住み続けたいと思う社会づくりに「ことばの教育」は重要な役割を果たします。その際に忘れてはならないのは、マジョリティーの言語だけでなく、それぞれの母語を重視する姿勢だと思います。
■個人主義の徹底とおおらかさ
フィンランドの学生さんと接していて思うのは、個人主義の徹底です。みんながやるから何となくついていって・・・という行動パターンではなく、「自分はこれがやりたいから」という意思で動いていることです。もちろん事前に決められたスケジュールにそって学習していますが、それ以外はさまざまな意見が出てきます。また、周りに惑わされることなく、自らのペースで事を運ぶ姿勢は、日本の高校生も学ぶところが多々あるのではないでしょうか。
■日本語学習熱の高さ
日本語への関心が高い若者が大勢いると聞いてびっくりしました。その動機は、やはりアニメ、漫画、Jポップ、コスプレなどサブカルチャーが中心です。人口が500万人の国ですから、数的に非常に高いというわけではありませんが、平均的に、ヘルシンキ大学のアジアアフリカ語科24人の枠に、百数十人の志願者が押し寄せ、24人のうち18人が日本語志望という状況だそうです。
ただせっかく大好きな日本語を学んでも就職の道はほぼゼロに近い状態。4年間の学習が生かされることはなく、そのまま眠ってしまうことが多いのでは、あまりにも残念に思えてなりません。それでも、「20代は学生をしながら、少しずつ自分の将来の道を見つけよう」という志向の強いフィンランドの学生たちは、日本語学習に夢をかけるのでしょう。なんとか日本との「新たな絆」「新たなネットワーク」を構築することで、こうしたフィンランドにいる日本語ファン・日本ファンの維持・拡大を図ることができないでしょうか。小さな一滴が、大きな架け橋へと育っていくことを思うと、今の状況が残念でなりません。
■日本語能力試験を目標に!
中川先生の学校では、フィンランドでは珍しく日本語能力試験を目標にしています。入ったばかりは、「日本語能力試験って何?」と言っていた学生達は皆「N5」を目指して勉強し始めます。もちろん試験に受かることが目的ではありませんが、若い彼らには「何かを目指す」ということも大切なのだと思います。こうして、中川先生の学校では毎年受験したほぼ全員が合格しているそうです。因みに昨年はフィンランドでN5を受けたのは約50人、その半数が中川先生の学生さんでした。
■凡人社に行きたい!
今回の短期コースの特徴の1つに「凡人社に行って本を買う」というアクティビティ(!?)がありました。それだけフィンランドでは日本語学習関連の本が手に入らないということですが、同時に彼らの日本語学習熱が窺えます。私も一緒についていき、あれこれアドバイスをしながら本を選んでいきました。その選び方もやはりフィンランド流。友達があれを選んだから私も・・・というのではなく、1人ひとり自分の考えに合わせて選びました。分からなくなると、質問しにきますが、あくまで最終決定は自ら行おうという姿勢です。「これも日本の若者に是非学んでほしいな!」と強く思いました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どの国にもそれぞれの文化があり、社会のしくみがあり、人々の生活があります。しかし、その国にどっぷり浸かっていると、「見えなくなってしまう部分」があることを忘れてはなりません。そのことに気づかせてくれるのが、異なる価値観・異なる文化を持った人々との触れ合いです。まだ1週間しか過ぎていませんが、フィンランドからの短期留学生と中川先生をお迎えして、私はたくさんのことを学ぶことができました。だから、日本語教師人生って楽しいんですよね!!
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