フィンランドの学生、コンビニでのやり取りにびっくり!

スピーチを終えたアルミさん

スピーチを終えたアルミさん

15日(木)は、フィンランド短期日本語研修の学生さんの「ミニスピーチ大会」の日でした。ちょうど教育実習に来ている東京女子大学の6人の大学生と、イーストウエスト日本語学校の先生方が聴衆として参加。初めてフィンランド人に会ったという大学生達は、熱心にスピーチに耳を傾け、積極的に質問をしていました。さらに、終わってからは3つのグループに分かれて、グループディスカッション。留学生、実習生双方にとって楽しく充実したひと時でした。ここでスピーチを1つご紹介したいと思います。

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「日本のコンビニ」(アルミさん)

私が日本に来てから色々なことを変だと思いました。その中の一つは、店員とお客さんの話し方です。フィンランドの店員とお客さんの話し方と全くちがいます。日本の店員はいつもとてもていねいに話していますが、お客さんは何もいわない場合が多い。私は毎日コンビにでかい物をする時、店員の「いらっしゃいませ」や「お待たせしました」などのていねいなセリフを聞くと、私も何かていねいなことを言いたいのに、何と言っていいか分かりません。
セブンイレブンでアルバイトをする友達にも、「そんな時、お客さんは何と言いますか?」と聞いてみましたが、彼が「お客さんは何も言わなくてもいいです」と答えました。でも、私がフィンランドでスーパーでアルバイトをした時、何も言わないお客さんをしつれいと思いました。フィンランドでは、少なくともあいさつはかならずします。お客さまは、「ありがとう」とかもよく言います。だから、日本で、かい物をするとき、いつもちょっと変な感じがします。

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大学生とフィンランド学生との話し合い

大学生とフィンランド学生との話し合い

これを聞いた東京女子大学教育実習生は、次のようにメールでコメントをくれました。

■実習生Kさん

コンビニでの店員と客の態度の話は、とても勉強になりました。日本は特にホテル業界等で、ホスピタリティーが高いとか、海外旅行の際一番行儀の良い客は日本人だ、などと言われることがありますが、確かに、身近なコンビニでの一部始終を考えてみると、なんだか冷たい感じ(特に東京?)もします。現在、私は販売のアルバイトをしていますが、この話を聞いて「いらっしゃいませ」というと丁寧に「こんにちは」と返ってきて、品物をお渡しするととても丁寧に「ありがとうございます」と言って来店してくれる外国人のお客さんの存在を思い出しました。「お客さんはお金を払うのだからしてもらう」日本、「店員もお客も双方でやり取りがある」がフィンランドの特徴なのだとしたら、自分がどの立場かでも異なりますが、日本の「おもてなし」が必ずしも良いとは限らないのかもしれないと思いました。本日も、当たり前と思っていたことが覆された感じがしました。

■実習生Eさん

今回フィンランドの方のスピーチを聞き、さらに交流の時間を作っていただき、よい経験ができました。今までの交流はアジア圏の方がほとんどでしたし、フィンランドという国の魅力を直接聞けてとても新鮮でした。店員と客の話し方の違いについてのスピーチは面白く感じ、もっと話して彼らから見た日本や日本人について、物事の考え方についてなど深く知りたいと思いました。一方もし私(日本人)だったらこのように相手の国の人の前で、あなたたちの国のこのような点はおかしい・失礼だと思う、と堂々と言えるだろうかと考えてしまいました。

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引率していらした中川先生は、10年ぶりの日本。コンビニの数の多さ、店員の接客などに驚いたと感想を述べられていました。

〇コンビニでは、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と言うけれど、人を見て言っているのではなく、ただ機械的に言っているようで、変な感じがしました。

〇居酒屋でのことですが、店員がお客さんの傍で膝を突いて注文を取る姿に驚きました。

〇みんな忙しそうですね。走っている人をよく見ますが、フィンランド人がそういう人を見たら、「あ、何かあったのかな。事件かな」と思ってしまいます。

日本語学校は、さまざまな国の人々が学ぶ場です。1年、2年という長期の留学生、1週間、2週間という短期研修生、さまざまな人々が出会い、語り合う場として存在します。今回は、6人の日本人大学生を迎えての「ミニスピーチ大会」でしたが、もっともっと地域社会の方々に参加していただきたいと、改めて思いました。そんな「仕組み」を作るにはどうしたらいいのか、みんなで知恵を絞っていきたいものです。

みんなでお食事「海老、貝は珍しい!」

みんなでお食事「海老、貝は珍しい!」初めてのお習字、「上手ですね!」

初めてのお習字、「上手ですね!」

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フィンランドの学生、コンビニでのやり取りにびっくり! への3件のフィードバック

  1. 東 利子 のコメント:

    そうなんですかぁ~ 私は コンビニであいさつをされても 少し頭をさげるくらいです。
    お金を払って品物をもらうときは 「ありがとう」といいます。
    コミュニケーションは大事ですものね。  
    でも、まわりの人は へんだといいます。
    フィンランドのやりとりは 日本も学ぶべきですね。
    日本でもやってみたらというのではなくて きっとこの話をきけば
    いいなぁと思う人は やってみると思います。

  2. 森山 のコメント:

     私は小学校の教諭をしています。今、「豊かな言葉の使い手になるために」という、国語の学習をしています。
     たまたまネットを検索していたらこのページが出てきたので閲覧していました。
     どんどん日本語は簡略化されています。人間関係までそれに比例しているような気がしてなりません。
     私たちは次の世代へつなぐために、豊かな言葉と、それに伴った心を養っていかなければならないと思いました。

    • 嶋田和子 のコメント:

      森山さん  コメントをありがとうございました。
      外国人の方々と接していると、当たり前になっていることに、改めて気付かされることが多々あります。小学生の方にも是非「異なる価値観・文化」を持った人々との触れ合いをたくさんしてほしいと思っています。そこから自分が普段何気なく使っている言葉、母語への関心も強くなってくるのではないでしょうか。「留学生の声」、またどうぞお時間のある時にでもご覧ください。

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