イーストウエスト日本語学校では毎年俳句コンテストを行っています。ここ数年は夏休み前に授業で取り上げたり、夏休みの宿題にしたりして、9月上旬にクラス代表句を提出することにしています。俳句づくりは、クラスを担当する先生の考え方、留学生の関心度によって、クラスごとに計画し、実施しています。何しろ7月に入学して日本語学習を始めたばかりの留学生もいれば、母国で俳句を作ったことがあるという日本語学科の学生までいるのですから、反応もさまざまです。
こうして集まったクラス代表句は名前を伏せ、一枚の紙にまとめて、ご近所の方々、ボランティア「風の会」、イーストウエスト日本語学校の教師とその家族などさまざまな人々によって選句が行われます。今年は、より多くの方に「留学生の俳句づくり」を知っていただきたいと、ホームページやフェイスブックでお知らせしました。その威力は大きく、思いがけない方からメッセージをいただいたり、貴重なコメントをいただいたり~~~。そして、今日の卒業式での発表と相成りました。
第一席 静かな夜 花火で描いた 夢の地図 (林 捷:中国男性)
第二席 生ビール 出会いのための 第一歩 (李 美蘭:韓国女性)
第三席 蒸し暑い 僕と扇風機 見つめあう (彭 柏維:台湾男性)
第三席 ポンとする クールな夏音 生ラムネ (李 美貞:韓国女性)
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♪♪ メールで頂いたコメント ♪♪
私も昔、大きな夢を持って花火を見上げていた時のことを想い出しました。夜空に広がる花火、それを夢の地図に見立てる感性、素晴らしいですね。私も俳句を作ってみたくなりました。
【第二席】
人は仲良くなるのになんらかのきっかけが必要なもの。夏はやっぱり生ビールの乾杯でしょう! 暑さや疲れをいやすだけでなく共にいるひととの関係の始まりをも暗示させていて、よいなあ、と。これからぼくは生ビールで乾杯するたびに「これは『出会いのための第一歩』なんだなあ」と思うことでしょう。新しい視点に感謝です。
♪♪ 口頭で頂いたコメント ♪♪
【第三席 扇風機の句】
留学生も節電、がんばってるんですね。その気持ちが「見つめあう」によく出てて、感心しましたよ。私もクーラーから扇風機に変えなきゃ。反省しましたよ。
【第三席 ラムネの句】
ちょっとしたことを俳句にしているのがいいですよね。ラムネの音、確かに夏、感じさせますよねえ。
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残念ながら入賞はできなかったけれど、他にもたくさんすてきな句がありました。その中から5句、ご紹介したいと思います。
◆エコ我が家 うちわ活躍 節電へ
◆梅雨明けの 明け方空に にじにじむ
◆夜の星 蛍の光 あなたの目
◆心から 風鈴が鳴る 君のため
◆諦めた 今年・来年 このビキニ
また、残念ながらクラス代表には選ばれなかった句の中にもたくさんすてきな句が見られます。じーんと心を打つ句、みごとなことばの使い方にはっとさせられる句……。
◆被災地の 花火見つめる お年寄り
◆十六夜の 月と蜩(ひぐらし) 帰り人
◆夏広場 名画の如き 水跡や
◆せみの声 かき消されるや 朝の夢
留学生が日本でいろいろな体験をする中で作る俳句には、また違った味わいがあり、「クラス句会」「校内俳句コンテスト」は、私にとって毎年の大きな楽しみの一つです。