旅館の女将になりたい留学生、「五箇山の旅」に

相倉合掌造り集落1

相倉合掌造り集落1

韓国からの留学生、徐明珠(ソ ミョンジュ)さんは、10月1日(土)・2日(日)に1泊2日の「五箇山の旅」に出かけました。これは、JTB関東法人営業新潟支店が企画した「国土交通省受入環境整備サポーター派遣事業」であり、イーストウエスト日本語学校でも希望者は大勢いたのですが、参加できたのはミョンジュさん1人でした。この「世界遺産 五箇山の旅」は、「国土交通省モニターツアー事前アンケート」に答え、終わってからはSNSなどを利用して情報発信することになっています。

 今は秋休みなのですが、お土産のくるみまんじゅうを手にミョンジュさんは教員室にやってきました。「先生、楽しかったです。私、行けて、本当に幸せです」と感想を述べた彼女は、今回の旅で感じたこと、自分の夢についていろいろ語ってくれました。

一番古い家屋(築500年)の前で

一番古い家屋(築500年)の前で

 実は、ミョンジュさんの将来の夢は「日本旅館の女将になること」なのです。そんな彼女には、五箇山の旅でさまざまな気づき、発見、感動がありました。「先生、私の夢、すごく大きいですけど、なんだか自分でも知らず知らずに、少しずつ、少しずつ夢に近づいてきている感じです」

 ミョンジュさんが日本に来たのはちょうど1年前、そして後半年イーストウエスト日本語学校で勉強し、来年4月からは専門学校でホテル関係の勉強をすることになっています。まずは、彼女に「旅館の女将になろうと思ったきっかけ」を聞いてみました。

 「高校生のとき第二外国語で日本語を勉強し始めました。大学に入って、文化も少しずつ勉強しました。その日本文化の中で、枯山水の庭園がすごく好きになったんです。それで、韓国の専門大学で専攻が経営だったんで、将来は、旅館と枯山水の庭をいっしょにして、旅館を経営したいと思いました。だから旅館の女将さんになりたいんです。枯山水の庭をちゃんと入れて、旅館を作ります」

相倉合掌造り集落2

相倉合掌造り集落2

 そんな彼女は、日本での留学生活をエンジョイしながら、さまざまな体験をしています。冬休みには北海道の北見で17日間ものホームステイをし、いろいろな日本人と話をしたり、一緒に食事を作ったり、貴重な経験をしてきました。ミョンジュさんは続けてこう話してくれました。

 「今、日本にいますけど、日本の文化を見たら、自然を見たら、なんか自分が落ち着いて、気持ちも落ち着いて、もっともっと勉強したい感じがするんです。五箇山に行った時も、『へえ、こんな所があるなんて、信じられない。どうして500年前の家が残っていて、それをちゃんと守っているおばあさんがいるんだろう』って、思いました」

相倉合掌造り集落3

相倉合掌造り集落3

 集合は、東京駅上越新幹線MAXとき車内。訪問地は、1.高岡市内(高岡大仏)、2.五箇山、3.富山市内、4.高山市内、5.白川郷、6.立山・黒部峡谷の6箇所です。宿泊は、南礪市相倉にある「合掌のお宿庄七」(http://www.syo-7.jp/)、この宿屋は200年前に建てられた合掌造りの萱葺き家屋、そんな所を見るだけではなく、実際に泊まってみることができると知り、ミョンジュさんは感激! 囲炉裏のある部屋、「こきりこ(筑子)踊り」の人形や写真、みんなで見た餅つき……、たくさんの思い出ができました。

五箇山和紙の里(和紙ちぎり絵体験)

五箇山和紙の里(和紙ちぎり絵体験)

最後に「今回の五箇山の旅で、日本への印象、何か変わった?」と問う私に、「先生、何も変わりません。これまで日本や日本文化、日本の自然について思っていたこととか、イメージがもっと強くなりました。変わったんじゃなくて、もっと深くなってっていうか、強くなってっていうか……」。ミョンジュさんの答えを聞きながら、月並みな質問をした自分自身を反省したインタビューでした。

相倉合掌造り集落の説明

相倉合掌造り集落の説明

五箇山の地図

五箇山の地図

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