秋の校外学習で思ったこと・感じたこと

行きのバスの中で

行きのバスの中で

11月2日、バスを連ねて山梨県に校外学習に出かけました。教室の中での日本語学習をソトの学びに繋げること、クラスではなく学校全体で行動し、新しい出会いを楽しむこと、といった目的で毎年春・夏に校外学習を行っています。特に秋のバス旅行は、1つのバスにできるだけレベルが異なるクラスが一緒に乗って、新しい友達づくりをしてほしいという思いが込められています。

まずはサービスエリアで記念撮影

まずはサービスエリアで記念撮影

私が乗った2号車は、「上級クラス・中級クラス・初級クラス」と、3つのレベルのクラスが一緒に乗り込みました。行きのバスでは、各国語の紹介、しりとりゲーム、伝言ゲーム、そしてカラオケまで飛び出し、賑やかで楽しい時間が流れました。留学生の出身は、韓国・台湾・中国・シンガポール、ネパール、タイ、インドネシア、ロシア、ブルガリアと、実にさまざまです。

ワイン工場の中で

ワイン工場の中で

さて、最初のメニューはワイン工場見学です。実際に工場の中を社員の方の説明を聞きながら、見学して歩きました。瓶詰め行程を上から眺めたり、大きなタルがいっぱい入った貯蔵庫の中を歩いたり、みんな興味津々です。見学が終わると、待ちに待ったワインやぶどうジュースの試飲です。

楽しそうなワインの試飲

楽しそうなワインの試飲

5種類のワインに、ジュースが2種類、みんなで好みを言い合いながら、楽しい試飲会が繰り広げられていました。

ぶどう園でのランチタイム

ぶどう園でのランチタイム

 

 

 

次に、ぶどう園へと向かいました。到着すると、まず食事をしてからぶどう狩りとなりました。今年のぶどう園は、ぶどう棚がかなり低い位置にあるため、背の高い留学生達は、腰をかがめて歩かなければなりません。しかもここでは「必ず房ごと取って、1房全部食べ終わるまで次に行かないように」という注意があり、ちょっぴり残念な思いも……。2、3粒取って次の房に行くことはできないため、木によって、場所によってかなり甘みに違いがあり、人によって当たり外れが出たぶどう狩りとなってしまいました。でも、みんなでワイワイ言いながら食べる

いよいよぶどう狩りが始まります

いよいよぶどう狩りが始まります

のは、とても楽しいひと時でした。

それが終わると、昇仙峡ハイキングが待っています。昇仙峡は「平成百景」では富士山に次いで全国第2位、「日本観光地百選:渓谷の部」では第1位に輝いた観光地です。地殻の断層によって出来たと言われる高さ30メートルの仙娥滝、さすが「日本の滝百選」に選ばれているだけあって、巨大な岩の間から一気に流れ落ちる姿は圧巻です。少し歩くと、昇仙渓の主峰である覚円峰が見えてきました。この峰は、昔、覚円という僧侶が畳数枚分の頂上で修業をしたことから、覚円峰という名前が付きました。

仙娥滝をバックに

仙娥滝をバックに

 

帰りのバスは、歩き疲れたのか、ガイドさんがかけてくれた「ダイ・ハード」を見ながら、いつしか殆どの人が眠りこけていました。普段運動不足の私も、ほどよい疲れに眠気が引き出されたのか、いつのまにか夢の世界に~~~。

新宿でバスを降り、クラス単位の挨拶が終わってからは、三々五々家路に着きますが、中には「みんなでワイワイやろう!」と居酒屋に繰り出すグループもあります。私は、夜の会議に向かうため、大急ぎでJRに乗りこみました。席を求めて車両を移動していると、一つ向こうの車両から誰かが手招きしています。急いで行ってみると、イーストウエストの学生が2人。そこから、3人並んでの楽しいおしゃべりが始まりました。

覚円峰

覚円峰

嶋田:家に帰るの?
学生:ううん。8時からお茶の水でバイト。
嶋田:じゃあ、この電車じゃなくて、中央線に乗れば良かったよね。
学生:時間がたくさんあるから、ゆっくりこの電車(総武線)で行ったほうがいいと思って……。
嶋田:なるほど。
学生:先生は、家に帰りますか?
嶋田:ううん。飯田橋まで出かけるの。
学生:じゃあ先生もバイト。大変ですね。
嶋田:ううん、バイトじゃなくて、会議。あのね、私達はバイトはしないの。

日本語学校で学ぶ留学生の多くは、アルバイトをしています。そう言えば、バスの中での「しりとりゲーム」でも面白いことを発見しました。まだ10月に日本語を習い始めた初級クラスの人たちは、「一体どれだけの単語を知っているのだろう?」とちょっと心配したのですが……。「し」=「シフト」、「て」=「てんちょう」、「あ」=「アルバイト」、「じ」=「じてんしゃ」……なんとアルバイト関係の言葉が次々飛び出したのです。「語彙の学びは、人それぞれ」ということを改めて感じさせられた場面でした。

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3月の卒業まであと数カ月、みんな頑張って夢を実現させてくださいね! 日本に来たばかりの人は、これをきっかけにして友達と、仲間と、ホストファミリーと、どんどん日本を旅してください。そして、それをいろんな形で発信してくださいね!

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