留学生が「柏もちづくり」にチャレンジ

「どうして、こどもの日には柏もちを食べるんですか」と、こどもの日に見た店先のたくさんの柏もちに留学生たちは驚き、質問してきました。5月5日は韓国や台湾でも「子供の日」なのですが、この日にみんなで食べる特別のお菓子はないそうです。

そんな留学生は、ご近所にある「城山ふれあいの家(さくら館)」の「5月さくら館だより」を見て、小躍りしました。そこには次のようなイベント紹介があったのです。

さくら工房 〜まちの匠シリーズ
伝統行事の由来にふれる和菓子作り
柏もちづくり
*御菓子司「きくや」さんに教わります。
*5月5日に柏もちを食べるのはなぜでしょう?

さっそく6人の女子学生が、さくら館に出かけていきました。小学校の元先生だった人、ボランティアに関心がある人、和菓子が大好きな人、参加の思いはさまざまですが、共通しているのは「日本人と触れ合いたい」という気持ちです。

アンコを包むのは大変です

さくら館には30人の子どもたちとお母さん方、そして6人の留学生が詰めかけました。まずは、きく屋さんの御主人の実演が始まり、上新粉を練ったものを1人分ずつに分け、みんなに配っていきました。

最初はみんなで練習です。留学生たちは子どもたちをサポートし、話しかけながら、柏もちに挑戦していきました。違う国の人々が仲良くなるには、一緒に作業をすること、そして一緒に食べることが一番です。子どもたちからは素朴で面白い質問が次々に飛んできました。

「ねえ、ねえ。香港なのに、どうして日本語話せるの?」と留学生の流暢な日本語に驚く男の子。「手に付いちゃって放れない」と上新粉がいっぱい付いた手 を差し出して留学生に甘える女の子。「えっ? 日本人じゃないの? どうして日本に来たの?」と質問する子ども。どのテーブルもワイワイガヤガヤおしゃべ りに花が咲いています。

子ども達と一緒に真剣に練習しています。その隣には「シティテレビ中野」からの取材カメラが入っています。

さて、いよいよ本番です。手をきれいに洗い、上新粉を練ったものを楕円形に伸ばし、その上に本物のアンコを置いて包み込もうとしますが、なかなかうまくできません。なんとか出来たモノを、今度は蒸し器にきれいに並べて次の作業に入ります。

柏もちの命は「練り」と「蒸し」。留学生たちはコツを覚えて、国で友だちに「和菓子の味」を伝えたいと張り切っていました。和菓子に見られる日本人の季節感、年中行事と密接に結びついた和菓子の存在をしっかり伝えてくれることを願って、さくら館をあとにしました。

翌日、6人の留学生に「柏もち作り」の感想を聞いてみました。みんなすばらしい体験に感激。何よりも地域の皆さんと一緒に作り、食べ、そしておしゃべり をしたことが嬉しかったようです。「多文化共生社会作りのためには、異なる文化を理解し、受け入れ、お互いに・・・・・・」などと難しいことを言わずと も、とにかく触れ合い、一緒に何かをすることで、距離はどんどん縮まっていくのではないでしょうか。

今回の和菓子作りで地域の方々と知り合いになった留学生達は、今度はボランティア活動に参加したいと、さくら館のスタッフに熱心に聞いていました。町内 清掃のボランティア、毎週月曜日のデイケアサービス、手作りケーキの「さくらんぼ喫茶」……。地域の方々とのさまざまなボランティア活動の中で、留学生達 が日本人・日本社会を肌で感じ理解し、さらには自分自身を見詰めてくれることを願ってやみません。

先生を囲んで記念撮影

最後に留学生たちの「地域の中の和菓子作り」で感じたことをご紹介したいと思います。

○私は台湾で小学校の先生をしていました。日本の小学生は静かで、一生懸命作っているのにびっくりしました。台湾の小学生とはかなり違いました。(台湾)

○台湾では、こういう学校が終わってから「親子で何かを作る会」みたいなのは、あまりありません。だから日本の小学生はいいな、と思いました。私たちも、とても楽しかったです。また今度別の活動にも参加したいです。(台湾)

○子どもが作った柏もちは形がぐちゃぐちゃでした。でも、みんな嬉しそうな顔をしていました。みんなの笑顔がすごく可愛かったです。(香港)

○日本の伝統的なことをもっともっと知りたいです。柏もちの葉っぱは食べてはいけないと言われました。でも、「桜もちの葉っぱはOK」と言われたので、今度はそれに挑戦したいです。(韓国)

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