『漢字たまご 初級』が可愛い表紙とともに誕生しました。7年もの間、使用に使用を重ねてきた教材です。表紙にはネコが5匹、思い思いの格好で動き回っています。「『漢字たまご』にネコが5匹?」、これにはちょっとした「意味」があります。答えは、この記事の最後に載せてあります。
本教材には、1.何ができるかが明確になっている、2.漢字の接触場面から学ぶ、3.漢字学習ストラテジーを身につける、という3つの柱があります。
【何ができるかが明確になっている】
各課には「できることの具体例」が明記されています。例えば、2課では次のようなことが記されています。
・漢数字で書いてある1~10の数字や、百、千、万円の金額がわかり、読むことができる。
・スーパーの広告などから、肉の種別がわかり、読むことができる。
・スーパーなどにある「○○産」「○%引き」「酒」の表示から情報が取れる。
【漢字の接触場面から学ぶ】
例えば、2課は「買い物」です。ですから、「練習2 やってみよう」では、次のような練習問題が付いています。
例1:
Ⅱ あなたはスーパーで、広告を見ます。今日は肉を買います。
① 今日は8日です。ぎゅうにくはいくらですか。
② とりにくはいつ安いですか。
③ 今日は9日です。ぶたにくはどこのですか。
また、漢字学習としては珍しく「CDを聞きながら、漢字を手掛かりに情報取りをする」というタスクもあります。これは、日本留学試験にある聴読解問題のための基礎力養成にも役立ちます。
例2:
Ⅲ これからあなたは友達と買い物に行きます。
A・Bの広告を見てください。
(ここでCDを聞きます)→どちらのスーパーで買いますか。
そして、この教科書の大きな特徴の一つとして、漢字を次のように3つに分けて考えている点が挙げられます。
A 読んで書ける必要がある漢字
B 読めればいい漢字
C 読める必要はなく、サインとして分かればいい漢字
これまで、漢字学習というと、出てきた漢字に関して「読んで書けること」を要求するというケースが多かったように思います。しかし、「その漢字が接触場面で、何ができることを求められているのか」という考え方で漢字学習を見ていくと、上記のように3つに分けて考えることができます。
例えば、2課で言えば、次のようになります。
A 一~十、百、千、万、円
B 牛肉、豚肉、鶏肉
C ~産、~引き、酒
【漢字学習ストラテジーを身につける】
『漢字たまご』では、自分に合った学習方法を選択することができるように、漢字学習のアイディアをたくさん紹介しています。また、教育現場での長年の経験をもとに、学習者が間違いやすい点をあげてあるので、注意すべき点が明確になっています。実際『漢字たまご』を使って、学習者はどんどん「漢字の学び方」を身につけていきます。「できる日本語」シリーズ全体に流れる「自律的な学び」を大切にしているのです。「えっ?どんなふうに身につけるんでしょうか?」とお思いの方は、どうぞ『漢字たまご』を実際に手に取って、ご覧ください。
近日中に、アクラス日本語教育研究所のホームページに「漢字たまごのヒント&ポイント」を載せる予定です。http://www.acras.jp/ どうぞご活用ください。
【なぜネコが5匹?】
本のタイトルは、『漢字たまご』
「たま(ネコちゃんの名前)が、5匹います」→「たま、ご」