留学生「日本の秋」の魅力を体験

ワイナリーでの試飲

留学生たちのテルテル坊主が功を奏したのか、すばらしい秋晴れの中、バス12台を連ねて秋の校外学習が行われました。今年の行き先は、山梨県。新宿の雑 踏を抜け、しばらく行くと相模湖が眼下に広がってきました。山を見上げると巨大な「緑のラブレター」が目に飛び込んできました。これは、神奈川県藤野町が 平成元年10月に行ったイベント「森と湖からのメッセージ」の際に、高橋政行氏に依頼して作ったものだとガイドさんから説明がありました。

「どうしてあそこにわざわざ『緑のラブレター』を作るんですか。自然のままのほうがメッセージになります」
「でも、あの山の上に作ったから、みんなが見るんでしょ。やっぱりすごいですよ」

と、アレコレ意見が出てきました。雲が多いため、待望の富士山を見ることはできません。もう学生の中には、夏に富士登山をした人もたくさんいて、富士の姿より「日本の秋」を車窓から楽しんでいます。

「日本はホントに山が多いですね。高尾山も近くて、きれいで、楽しい山です」

と高尾山の魅力について語ってくれたのは、山が大好きなイムさん。日本一勾配が急なケーブルカーがあること、高さは599mしかない低い山であること、登り方が何通りもあってそれぞれ楽しめること……話はつきません。

気がつくとガイドさんは、自作の絵を見せながら、富士山と天気の話を始めていました。

「皆さん、昔は天気予報なんてありませんでした。だから、人々は富士山にかかる雲を見て、明日の天気を知ろうとしていました。<帯雲・離れ笠雲>がか かっている時は、明日の天気は晴れ。<1つ笠雲・二階笠雲>の時は雨、<吹き出し笠雲・横筋笠雲>の時は強い風が吹きます」

みんな感心しながら聞いていたものの、肝心の富士山が見えません。この時期は雲が多く、くっきり富士の山が見えるのは稀なこと。今年はついに見ることができませんでした。

さて、山梨につくと、シャトー勝沼の工場見学、ワインやジュースの試飲があり、そのあとは浅間園でのぶどう狩りです。身をかがめないと通れないような位置にまで、ぶどうがたわわに実り、皆夢中でぱくついていました。

「先生、韓国人は無料が大好きですから」
「国、関係ないよ。中国人も好き」
「そうそう、『無料好き』に、国、関係ない。みんな好き好き」

とまたたく間に山盛りのお皿のぶどうが消え去りました。

昼食を食べたあとは、昇仙峡にバスを走らせました。覚円峰・猫岩、天狗岩などみごとな岩々、ゴーゴーと音を立てて流れ落ちる仙娥滝。バングラデシュの学 生は「こんなの初めて」とひたすらカメラのシャッターを押し続け、少しも前に進めません。中国から来た学生は「ふるさとを思い出してしまいました」と遠足 は楽しいものの、家族への思いで複雑です。

色づき始めた「日本の秋」にタイからの学生たちは感動しています。

「先生、タイじゃあ、紅葉見られません。きれいですねえ」
「あれ、柿ですね? 韓国じゃ柿はあんまり人気がある果物じゃないです。でも、日本人、好きですねえ」
「秋の次は冬ですね。わたし、雪って見たことありません。早く見たいです」

今年来日したばかりの留学生は、四季のある日本に大きな関心を抱いています。日本に生まれ、日本に暮らし続けている私は、留学生の言葉に「四季の移り変わりのある日本」の魅力を改めて感じながら、家路につきました。

ブドウの食べ放題

昇仙峡で滝とみごとな岩

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