留学生のスピーチに感動!

スピーチをするエカテリナさん

イーストウエスト日本語学校文化祭で行われたスピーチコンテストは、さすがクラスの中で選ばれただけあって、どれもすばらしいものでした。ユニークな視点での日本人観、留学生の思い、家族を思う気持ちなど心打つものばかりでした。そのうち幾つかをご紹介したいと思います。

梁虎(ヤン・ホ)さんのスピーチは、「在日韓国人」でした。彼が日本留学を決めたのは、韓国の居酒屋でアルバイトしていた時に体験した在日韓国人との出会いでした。日本語が話せる梁さんは日本語で注文をとろうとしました。その人達は日本人の格好をしていて、どう見ても日本人にしか見えなかったのです。しかし、そのお客さん達は「うちらは在日三世だから、日本語でも韓国語でもいいよ」と答えました。それからの梁さんは「どうして在日コリアンがいるのか?」ということを考え始め、それが彼の日本留学のきっかけになりました。

宋孝眞(ソン・ヒョジン)さんは「日本の家族と韓国の家族の違い」というタイトルで、日本のこたつについて語ってくれました。お正月に焼津にホームステイに行きました。その時、家族みんなが集まってこたつに入り、テレビをみたり、おしゃべりをしている姿にとても驚きました。「こたつってどうして出来たんだろう?」と東京に戻ってからインターネットで調べ始めました。調べていくうちに、日本人はスキンシップが少ないと言われているけれど、「こたつ」が日本の家族のコミュニケーションの場であり、スキンシップの場だったのだと知りました。冷えた体を温めてくれる、気持ちをいやしてくれる「こたつ」の「ぜいたく感」はとても印象的でした。

表彰される黄易旋(ホァンイーシェン)さん

ロシア出身のクストウァ・エカテリナさんは「日本は危ない?」というタイトルで、一番印象に残ったことは「日本社会のさまざまな注意」だと言います。地下鉄の「足元にご注意ください」から始まって、交通監視員の人数まで、東京の街は危険と注意で溢れていると切り出しました。「猫の飛び出し注意」というサインを見ると、「一体どんな猫が出てくるのだろう?」と思ってしまうそうです。それ以外にも「風邪を引かないように」「日射病に注意」等など、なんと注意が多いのだろうと思っていたエカテリナさんも、次第にそれが「日本人の挨拶」であることに気づきます。一方ロシア人は「雷なし人は平気」という諺のとおり、災いが起こる前に心配する必要はないという考えを持っていると言います。のんびり屋のロシア人、考え深い日本人、どちらの良さも大切にしたいものです。

スリランカから来たダヌーシャ・プリヤダルシャニーさんは「私の日本の生活」というタイトルでスピーチをしてくれました。スリランカから来たダヌーシャさんは、日本語は世界で一番静かな言葉だと思っていました。「そんな言葉を話す日本ってどんな国?」彼女の留学の夢は膨らみました。しかし、実際に来てみたら……。まず驚いたのが日本の女性の姿です。スリランカでは女性はタバコを吸わず、お酒も飲みません。結婚相手は両親が決めてしまいます。それに比べて日本の女性はなんと自立しているのかと感心したそうです。日本語学校を卒業した後は、大学で日本文化を学び、将来は日本語の先生になって、「日本の女の人の生き方や日本の良さ」をスリランカの人々に伝えていきたいと思っています。

入賞した学生たち

最後に、林昭延(イム・ソヨン)さんのスピーチ「私が幸せなわけ」を紹介して終わりにします。

スピーチは、10歳の時のアメリカ留学の体験から始まりました。10歳のイムさんは、空港で両親の姿が見えなくなってから泣き始めました。「一人ぼっちの私」と考えると、雲を見ても、木を見ても、人々を見ても涙が出て止まりませんでした。そして、その時もう自分の一生分の涙を全部流してしまいました。一人ぼっちの寂しさ、人種差別の中で彼女は冷静な人に変わっていきました。彼女のお祖母さんは日本人、だからアメリカでの生活で一番大変だったのは、アイデンティティだったと言います。

「あなたは韓国人ですか。日本人ですか。アメリカ人ですか」

でも、先月日本語学校に来てからは、そういう悩みがなくなりました。いろいろな国から来た留学生達が同じ学校で一緒に勉強している……「そうだ。結局1つなのだ!」と思いました。もちろん寂しいこともありますが、もうイムさんは泣きません。涙がもう無いからなのです。イムさんはスピーチの最後にこう付け加えました。

「日本の生活が少しは寂しいです。でも、わたしは涙がもうありませんから、笑うしかありません。笑うことだけ残ったということです。皆さんも私のように笑うしかない人生になってほしいです。一緒に笑いましょう!!!」

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