風の会で 金 光連(韓国・女性)
イーストウエストにはほかの学校にはない特別な活動がある。風の会だ。学校の授業の前後に行う会話の時間だ。せっかく日本に来たけど、なかなか日本人と付き合う機会がない留学生のためのボランティアの時間だ。毎週の火曜日、別館の5階、お茶を飲みながらいろいろな話をしている。
始めは、日本に来たばかりだったので会話をする雰囲気だけで緊張した。特に風の会の方たちは、我々の親より年上なので、自信がない敬語を使うのも心配だった。風の会の人は我々の心を感じたのか、初めて行った日、言った。「これは授業ではありません。ご自由に参加してください。日本に対して質問があればいつでも言ってください。」
毎週いろいろな話題が出た。日常生活、学校と授業の内容などなど。その上、日本と学生たちの国の差、ニュースから始め、国際紛争や歴史まで話した。
知識的な部分が延びたのはあたりまえだった。でも、風の会に参加して一番よかったのは、暖かい心と出会った事だ。どんなに望んでいた日本の生活だといっても、旅行と生活は違った。特に、生活上で母国では何もなかったことが問題になったり、私の意図とは関係なく変な状況に流れたりした。電話すれば、すぐ家族や友人に話せたが、どんなに説明しても理解できない部分だった。気持ちをどうすればいいかよく分からなかった。いま考えれば、ホームシックだったか。生まれて初めて感じる気分だった。この時、私を支えてくれたのが風の会だった。数年間、留学生と話した人たちはこの悩みを分かってくれた。毎週、会話しながら、私一人で感じることではないと理解させてくれた。敏感すぎた私は色んな話を聞きながら又話しながら、日本に適応した。やっと日本という国とやさしく付き合った気持ちになった。差を理解する余裕ができた。
風の会の人たちのおかげで日本での留学生活は豊かになったと思う。一年の中で何度も帰ろうかと思っていた私は、もう一年延長かどうかを悩んでいる。これは風の会の人たちの心と出会わなかったら可能ではないと感じる。いつも表現がよくできなかったが、本当にありがたい気持ちを伝えたい。本当に、ありがとうございます。
金 光連さん 「風の会」の芳野です。会のことを話題にして、なでしこ作文コンテストで優秀賞を受賞されおめでとうございます。入賞された事は聞いていましたのでとても興味があって早速読ませていただきました。
「風の会」では毎回お会いでき、お話もたくさんしましたが、作文を読んでどんな気持ちで参加していらしたかがよく分かり、もっともっと学ぶ方の気持ちに寄り添わなければ反省しました。お会いしたのは金さんがMクラスになってからでしたから、ほとんど日本語に不自由を感じていないように思えました。
敬語の使い方も正しく、正しい日本語をしっかり身につけていることに感心しながら、時には韓国人であることを忘れるほどでした。小さな慣習の違いなどを話題にするとき、韓国の生活文化を大切にし、誇りを持って紹介すると同時に、日本の文化との違いを客観的に見据えて、日本を理解しようとする姿勢に「大人だなあ」と感じることがよくありました。韓国と日本の架け橋として活躍していただけるのではないかと期待しています。
韓国には「先生の日」という日があるとかで、すてきなプレゼントをいただいたことが忘れられますせん。風の会のボランティアは先生ではなくて、みなさんに日本語に親しみ、日本のことをよく知ってほしいと願っている、ただの日本人のおじさんおばさんであって、先生ではないのにと恐縮しながらいただきました。
地震のために「風の会」がしばらくおやすみになるのでお会いできないのが残念です。滞在を続けるようでしたら4月以降も今まで通り会に参加して下さい。
金さんの作文とても上手で驚きました。風の会で日本のよさを少しでも味わっていただけたようで嬉しいかぎりです。金さんによろしくお伝えください。島田忠光