卒業記念文集より 作品②「現代と伝統、デジタルとアナログが共存している日本」

    「現代と伝統、デジタルとアナログが共存している日本」 丁恵英(韓国・女性)

「経済大国」、「TOYOTA」、「PANASONIC」、「アニメーション」という言葉は「日本」というと一番最初に思い浮かぶ言葉だと思う。言い換えれば、最先端の現代的な文化生活をしているのだろうというイメージが、私の頭の中で相当の部分を占めていた。実際もそうだった。しかし現代的なものだけ存在しているということではない。いろいろな伝統的なものも一緒に生きて息づいているのだ。

その中で一番印象的なものは、いろいろなお祭や浴衣を着ている人たちの姿だった。まるでみんながタイムマシンに乗って昔に帰っているような感じがした。外国人の私もその気持ちを一緒に感じたかったが、韓国はこういう伝統的な服を着る機会も、お祭もほとんど失われてしまったことに気づいて、うらやましい気持ちもした。確かに韓国は50年という時の間、植民地時代と戦争による貧困から抜け出すために、昔のものは古いもの、古いものは後進的なもの、捨てなければいけないものだった。しかし日本は江戸時代から栄えてきた商工業を基にして、明治維新後100年を越える時の間に徐々に西欧化されたため、自国の伝統を守る余裕があったと思う。

もう一つ日本に来て驚いたことは、年末年始に年賀状を送る文化だ。ケータイを持っている日本人ならだれでもケータイのインターネットを使って、簡単で便利にメッセージや情報をやりとりできる21世紀の今、ほとんどの人がわざわざ年賀状を書くのを見て懐かしさを感じた。新しいものを受け入れることや変化の速度が速い韓国と、デジタルとアナログが共存している日本。どちらがいいという意味ではないが、韓国が失った部分を持っている日本、「遅さの美学」がある日本に私は心を打たれた感じがする。 

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