卒業記念文集より 作品④「いただきます」

              「いただきます」     李 太榮(韓国:女性)

食べることは大切だ。生物が生命活動を続けるためには他の有機化合物から栄養素を摂らないと生きていけないので、その栄養素を摂る、食べるという行為は生命活動と直接連結するとても大切なことなのだ。それはそれとして、美味しいものを食べるのはすごく楽しいことで、人は栄養を摂取するためだけではなく、美味しいものを食べて幸せになるために食べる。冗談で、自分は生きていくために食べるのではなく、食べるために生きていくという人もいる。

日本で食事の前に言う「いただきます」は、「受ける」の謙譲語「頂く」から作られたと考えられている。自分たちが食べる物、それは料理をした人の心と手前、そして料理になった生命体の生命だ。「頂く」、それは生命体からエネルギーを頂いて自分の生命を続けていくことに対する感謝の心を込めた言葉なのだ(食べられる生命の同意を得なかった一方的な世話と感謝だけど…)。

けれども、今は食べ物が豊富な時代なので、溢れる食べ物を見ると、みるみる食べ物の大切さや感謝の心を忘れてしまう。感謝と尊敬の心がない「食べる」は、ただ一瞬の幸せになってしまうし、食べ物になってくれた生命に対してとてもとても失礼だ。この失礼は生命を軽く見るもとになってしまう。これは飛躍的な考えと思う人もいるかもしれないが、美味しい肉をたくさん食べたいというニーズに応えるために大量生産工場みたいに動物を飼育していることを考えると、そんなに飛躍的な話しではないと思う。
…だから、どんなものを食べるときも、大切に美味しく食べましょう!
 その前に、「いただきます」と言ってから!

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