盆踊り大会での出店チーム集合写真
お揃いのエプロンで勢ぞろいのこの写真は、7月下旬「谷戸盆踊り大会」が終わり、後片付けをしたあとの地域の方々と撮った記念写真です。ここにいる三十数人の宮二商友会のメンバーで今年も出店を切り盛りしました。焼き鳥、焼きソバ、ラムネもあれば、15種類ものおもちゃを売って、子ども達に楽しんでもらいました。
イーストウエスト日本語学校が設立されたのは1986年、私が勤務して21年になります。勤め始めた頃は地域社会とはほとんど縁がなく、「何だかあそこに外国の人が大勢出入りしている」という程度の認知度でした。「それでいいのだろうか? 何とかして地域と接点を持ちたい」と試行錯誤の日々が続いた後、どんどん輪が広がっていきました。
一つには、中野区城山ふれあいの家(さくら館)との出会いがありました。留学生達はここでのさまざまな行事に参加したり、授業の一環としてお年寄りのサークルやボランティア「さくらんぼ喫茶」にスタッフとして参加したりし始めました。さくら館との縁から谷戸小学校との交流授業もスタートしました。
でも、私にはまだモヤモヤしたものが残っていました。「どうしてこうした一回性のイベントを通しての交流に重きが置かれるのだろう。日本人側はそれしか求めていないのだろうか。本当はもっと継続可能な、双方にとって主体的な関わり方をしたいのに……」。私は地域社会に根付き、日本社会でともに暮らす仲間として留学生を見てもらいたいと思っていたのです。
今では、地域の方がふらっと学校に見えたり、道行く留学生たちにごく自然に声をかけてくださったり、そんな人間交流が続いています。地元の方からもこんな嬉しい声が聞こえてきます。
○先生、お宅の学生さん、みんな礼儀正しいね。会えば挨拶するし……。それに日本語すぐにうまくなるよねえ。(50代の男性)
○毎週、ボランティアに布巾作りに来てくれるボイムさん。話をしていてると、刺激になって嬉しいですよ。韓国のお年寄りと比べると、日本の年寄りは何でそんなに元気なのかって聞かれたり、どうして1人暮らしが多いかって聞かれたりして、改めて考えたりしてねえ~~~。(80代の女性)
○「さくら館祭り」では、子ども達に「アジアで一周」ってゲームやってもらって……。
ウチの子、なんだか急に回りの国のこと、興味が出てきたみたいなんですよ。(30代の女性)
ひな壇の飾りつけ
そういえば、イーストウエスト日本語学校にある立派な七段の雛人形は、大正琴をなさっている伊東さんに頂いたもの、大きな鎧兜は榎本さんからのプレゼントです。
五月人形の飾りつけを終えて
みんな回りの方々やボランティアグループ
の方の好意によるものです。
たくさんの浴衣
7月ともなると、七夕祭りが待っていますが、ロビーに広げられるたくさんの浴衣の中には、ご近所からのプレゼントがたくさん含まれています。今年もまたご近所の鈴木さんが「先生、また1枚浴衣があるんですが、いかがですか。それから紐とか足りないものはありませんか」と声をかけてくださいました。
お神輿、ワッショイ、ワッショイ!
9月には、ご近所方々とご一緒に法被を着て、お神輿をかついで「ワッショイ、ワッショイ」。終われば、集会所でお酒やお菓子を頂きながら、ワイワイガヤガヤ。これも留学生にとってはとても楽しいひと時です。
ボランティアサンタ、大集合
12月は、なんといっても「ボランティアサンタ」が留学生の大きな楽しみです。80歳近いお年寄りや中学生に混じって、留学生も一緒にサンタさんになって、小さい子ども達がいるご家庭を回って歩きます(事前に、親御さんからクリスマスプレゼントを預かっておきます)。日本に留学する学生多しと言えども、こんな珍しい体験をできる留学生は滅多にいないだろうと思います。
なでしこ会員のお宅でのボランティア活動
1月は、餅つき、そして3月になると、イーストウエスト日本語学校の留学生にとって嬉しい行事が待っています。それは、卒業式で表彰される「なでしこ作文コンテスト」です。これは、「なでしこ会」という70歳から90歳近いおばあちゃま方で作るボランティアグループによる作文コンテストです。毎週あるご家庭に集まって、布巾を縫ったり、袋や箱を作り、それをバザーで売って、基金とします。それを1年に1回、イーストウエスト日本語学校の留学生のために使ってくださるのです。最優秀作品には1万円、優秀作品2点には、5千円ずつ贈られます。
まだまだ数え切れないほどの交流活動がありますが、まずはこの辺りにしておきましょう。
張瑞亨さん作のポスター(台湾・男性)
今日は、9月に実施する学内スピーチコンテストのポスターを張りに、留学生達は街に繰り出しました。お菓子屋さん、お弁当屋さん、スーパー「マルマン」、焼肉屋さん、ソバ屋さん。数ヶ月前に開店したばかりのファミリーマートの店長さんも「どうぞ、どうぞ」と快諾。なんと、お店の真ん中に張ってあった「なでしこジャパン」のポスターを外して、留学生のポスターのための場所に場所を空けてくださったのです。これには、お願いに行った留学生達も大感激。
ファミリーマートの店長さんにお願いをしている留学生達
ファミリーマートにポスターを貼る留学生
こんな地域社会に根ざした日本語学校であることは、本当に幸せだとつくづく思います。20年かけて築いてきた信頼関係、いつまでも大切にしていきたいものです。今年は地域の方々のために、何か新たな企画を私たちから投げかけたいと考えているのですが、はてさて何が生まれてくるでしょうか。