『皆さん、ありがとう』(なでしこ作文コンテスト優秀賞)

2011年度「なでしこ作文コンテスト」優秀賞 「皆さん、ありがとう」(金 光連)

     「なでしこ作文」の説明は、こちらをご覧ください。
      「交流活動をテーマに、『なでしこ作文コンテスト』」http://nihongohiroba.com/?p=141

皆さん、ありがとう。

あ…もう二年か。

日本での留学生活、韓国にいたときは、一年の計画と思って来たんだろう。考えより長くなった日本での二年を振り返ってみたら結構いろいろあった。日本に来る前は20代だった私はもうすぐ30代に向かっている。高田馬場から中野に引越しもした。一緒に日本に来た友達の大多数が卒業して帰ったり、進学したりして、もう学校で一緒に残って勉強する友達もほぼいなくなった。去年の忘れられない大震災の後は肌で感じるぐらい日本の空気も変わった。でも、これより一番大きく変わったのは日本、日本人に持っていた私の固定観念だった。

日本人に対する固定観念といえばやっぱり本音と建前に代表する文化だった。日本語を勉強する外国人だったらひらがなとカタカナを勉強する時からわかるようになる言葉。この二つの文字から感じた日本、日本人は繊細で他人のことにすごく気遣うこと。それで、慣れていない日本人との付き合いに気遣いすぎて、いい縁だったのになかなか近づけないときも多かった。たまには複雑だなーと思う瞬間もあった。日本での最初の一年間はこの固定観念と戦った一年だと言っても過言ではなかった。負けの連続。

この上、日本での二年目は震災後のちょっと変わった空気が襲った。私が一年間経験した日本ではなく、ほかの国での新しい生活が始まったように。何で戻ったんだろう、後悔したときもないとはいえない。よかったかどうかよく分からないまま二年目が始まった。もう一年が経って、二年。誰かが「後悔したかい?」と聞いたら、今の私ははっきり言える。

「いいえ」と。こんなにはっきり言えるのは、風の会の方々がいるからだ。大震災以前も以後も、留学生活一年目の二年目も。相変わらず毎週火曜日、遠いところからいらっしゃってくれる風の会の方々に出会ったからだ。風の会に参加する方々は私の固定観念なんか忘れるぐらいいつも優しい笑顔で歓迎してくれる。何でも聞いてもいいよ。気軽に思ってください。まるで、国にいる祖父祖母のように慰められている。私は何も持ってないのに、長い人生のいろいろな話を持ってきてくれる。お金を出しても買えない珍しい贈り物を毎週もらっているようだ。

「もういっぱい生きていたし…」とか笑いながら、たまにおっしゃっていますけど、本当に言わないでください。いつもいつまでも丈夫に元気にいてください。そして、私みたいな固定観念の塊のものに日本の暖かいパワーを伝えてください。

塚本さん、柳沢さん、風見さん、榎本さん、吉野さん、島田さん、森さんありがとうございます。二年間お世話になりました。愛してますよ!

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