中川先生に聞く「フィンランド日本語教育事情」

 
アクラスを訪問してくださった中川先生

アクラスを訪問してくださった中川先生

今年も、フィンランドから中川先生が大勢の学生を連れて、短期研修に見えました。今回は早速アクラスをお訪ね下さり、学生達の研修現場から離れ、二人でゆっくり会話を楽しむことができました。

私が関心があるのは、フィンランドの日本語教育事情、なかなか情報が入って来ないのが北欧の情報です。中川先生のお話をまとめると次のようになります。

【特徴】

・フィンランドでは、日本語に関心のある若者は、殆どがクールジャパン。年配の人は、黒沢の映画に魅せられて・・・という人も見られる。

・就職などはほとんと可能性がないことから、とにかく「日本語が好き」「日本文化が好き」ということから学んでいるケースが殆ど。

・専門学校、高校などで熱心に日本語を勉強しても、さらに勉強したい人に道がないのが残念。大学で日本語が学べる所は、元々少ない上に更に減っているのが現状。

『漢字たまご』をプレゼント

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【中国語学習 vs  日本語学習】

・最近は、中国語に押されているのが現状。但し、中国語のニーズが高まっているというわけではなく、「中国語講座を開講したい」と言えば、中国政府が丸ごと援助してくれるので、教室が増えているということ。このように、箱モノは用意されたものの、実際のニーズは~~~というケースも見られる。

・現在、普通科高校卒業検定試験に、中国語を入れようという動きが出てきている。ずっと以前からやっている日本語は、それに追随している形である。つまり、あとから参入してきている中国語にリードされている感じである。

・中国語は、現在のところそれほど広がっていないが、ワールドワイドな言語なので、就職などにも役立つということで、今後広がっていくのではないか。

 

【日本語能力試験について】

・日本語能力試験の申し込みに関して、国内住所が必要になる。この点を変更してもらえないだろうか。

・5月に卒業してから、日本語能力試験を受けられるのは、12月。ヨーロッパでも7月受験が可能になれば、嬉しいのだが~~~。

 

【日本政府へのお願い】

・中国を見ていると、「中国語講座」開講に関して、全面的にバックアップしている。日本にもそうした支援を期待したい。

・国費留学生の大使館推薦「学部留学生」の選考試験では「日本語、英語、数学」が課せられるが、数学を外すことはできないだろうか。今の状況では、文系の学生はなかなか合格が難しい。そもそも数学のレベルが日本とは異なる。その点も考慮してほしい。

 

フィンランドのお土産

フィンランドのお土産

最後に、面白い「フィンランド人気質」を伺いました。「どうして日本のアニメに夢中になるのか」という事に対して、こう答えてくださいました。

「フィンランド人は、驚くほどリアリストなんですよ。私の夫や、夫の家族を見ていてもつくづくそう思います。アニメの世界って『考えたこともない空想の世界』ですよね。だから刺激を受けるんだと思います。癌の予防にもあまり関心がありませんし、『なったらその時に考えよう』という姿勢です。そうそう、『もしもの時のために生命保険に入ろう』という気持ちも薄いですし・・・。『もしも~~~』ということをあまり考えないんですよね」

私は何だか急にフィンランドに飛んで行きたくなりました。森と湖の国フィンランド……、いったいどんな所なんでしょう。

フィンランドから来た皆さん、どうか日本の暑さに負けず、楽しい2週間を過ごしてくださいね。

 

参考:

「フィンランドの学生、コンビニでのやり取りにびっくり!」(2011.7.18)

http://nihongohiroba.com/?p=1536

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