『音楽の万華鏡』、参加者の心に感動を!

音楽の万華鏡パンフ

音楽の万華鏡パンフ

留学生達が企画した「日中音大生による東日本大震災復興チャリティーコンサート」には「ぜひ行きたい!」と、随分前からチケットを購入し、楽しみにしていました。しかし、実施直前に参加できない状況となり、泣く泣く断念しました。でも、「どうしても今回のイベントを広く皆さんにお伝えしたい」という私の思いを知って、3人の方が感想と写真を届けてくださいました。

■Aさん(国際交流団体職員)

5月31日、赤坂区民センターで行われた日中音大生による東日本大震災復興チャリティーコンサート「音楽の万華鏡」に行ってきました。

開演に先立ち、在日留学生交流会代表のヤンロン(楊嶸)さんから挨拶があり、「留学生たちが現地に行っていた東日本大震災のボランティア活動の形を変えて、今年は日中の音大生に協力していただきチャリティーコンサートを行うことにしました。」といった趣旨について説明をされました。

プログラム

プログラム

前半は日中の古典楽器「尺八・和琴」、「二胡」を中心に、休憩を挟み後半は「ピアノ・ヴァイオリン・電子オルガン」の演奏を中心に2部に分かれコンサートが行われました。演奏者はみんなコンクールに入賞して、大学院で学んでいる学生たちで、とてもレベルが高く、日中の音大生の力でこの企画を実践出来たことは非常に有意義であると思います。

主催が青空二胡同好会・在日留学生交流会ということで、「古典的な曲をやるのかな」とか、「日中のコラボレーションがあるのかな」とか勝手な想像をしていましたが、とてもシンプルなステージで魅せていました。ひとつの形として実現した今回のコンサートは、今後の可能性を感じる一夜でした。

■Bさん(日本語学校 教師)

日本が大好きなヤンロンさん

日本が大好きなヤンロンさん

5月31日、『音楽の万華鏡』と題し「日中音大生による東日本大震災復興チャリティーコンサート」が開催されました。主催者は在日留学生交流会と青空二胡同好会です。私はゴールデンウィークの少し前に、在日留学生交流会のリーダーを務めている楊嶸(ヤンロン)さんからこのことを聞き、ずっと楽しみにしていました。

楊嶸さんは私の勤務校であるイーストウエスト日本語学校の卒業生で、現在千葉商科大学の3年生です。入学直後から日本で学ぶ留学生のネットワークを作り、中国と日本を結ぶ活動を積極的に続けてきました。2011年3月11日の東日本大震災のあとも、被災地に出向き、日中の学生とともにボランティア活動をしてきました。そんな彼が、今回は「別の形で被災地の力になりたい」と、中国人留学生と日本人学生の有志でこのコンサートを企画したということでした。

コンサートの冒頭、挨拶に立った楊嶸さんは「東日本大震災の被災地の方々のために、音楽で感動を、音楽で力を人に与えたい。」と話し、「私たちは社会貢献がしたいです!」と力強く結びました。

コンサートでは音楽を学んでいる中国人留学生と日本人の学生が一人一人、心のこもった演奏を披露してくれました。演奏された曲目は「緑野」、「茉莉芬芳(ジャスミン)」、「朝風」、……と、草原に広がるおおらかな自然を感じさせるものが多く、特に「緑野」は二胡の演奏者の田宇さんが、被災地の復興を願ってご自身で作曲されたというものでした。演奏前の曲紹介で、「野火が野原を焼き尽くしても、また緑は芽生えてくるという中国の詩人白居易の詩をもとに曲を作った」というお話しがありました。美しい二胡の音色が心に響き、思わず涙が出そうになりました。

無事終わってほっとしているヤンロンさんと仲間達

無事終わってほっとしているヤンロンさんと仲間達

爽やかな風を思わせるような尺八の音色、難しい技巧の日本の琴、なめらかに指先からこぼれ出てくるような美しい音色の中国の古箏、広々とした草原を見守る大空から聞こえてくるような温かなテノール、そして、ヴァイオリン、ピアノ、クラリネット、アコーディオン、電子オルガンの演奏など、演奏者の皆さんの被災地を思う温かさが、会場にいる私の胸に飛び込んできました。

心に残ったのは、演奏だけではありません。舞台上で演奏される楽器を準備するスタッフの機敏で丁寧な動き、受付や案内を務める留学生スタッフの美しい日本語と細やかな心遣い、全ての参加者がこのコンサートを成功させようと、心を一つにしていることを実感するものでした。

スタッフの皆さん、お疲れ様でした。いいコンサートでした。「社会貢献がしたい!」という思いで集まった皆さんの温かな気持ちが心に届くコンサートでした。どうもありがとうございました。

■Cさん(現在大学で学ぶ元特派員)

中国・韓国からの在日留学生、それに日本の音大生等による東日本大震災復興チャリティーコンサート「音楽の万華鏡」が、5月31日赤坂区民ホールにて開催された。前回の被災地東北での現地ボランティア活動に次いで催されるもので、定刻主催者代表による挨拶。続いて、東京芸術大生の平野将義氏の尺八、北川綾乃さんの琴演奏が披露された。

次からは留学生の番。あまりにも有名な何占豪作曲による「茉莉芬芳」の古筝演奏。二胡とピアノの対吟。韓国の金成林氏の力強いテノール独唱。軽快な乗りのクラリネットとピアノの合奏。黒鍵だけを弾く中国の沈佳女さんのピアノソロ、とプログラムも大詰め。

ラストは、電子オルガン奏者の中国の李玲さんによる「木星 ジュピター」。一台でオーケストラの強弱を奏で、その荘厳なメロディは、館内中に響き渡った。15分のクライマックスの後、拍手の渦。フィナーレは、出演者10名全員が、舞台に並び盛況の裡、緞帳は降ろされた。

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