留学生スピーチコンテスト入賞作品(午後部:初級/中級レベル)

解説:イーストウエスト日本語学校では毎年学内スピーチコンテストを実施しています。中野区のゼロホールを借り、午前部と午後部に分かれて行います。今年も体験に基づくその人にしかできないスピーチがたくさんありました。その中から、入賞作品を午前・午後に分けて紹介します。

【午後の部】
 第1位  夢に向かってチャレンジしよう!(金明姫 キム ミョンヒ)
 第2位  私がいま日本で学んでいること(尹海珍 ユン ヘジン)
 第3位  私の日本生活でのハプニング(朴頑植 パク ワンシク)
 特別賞  今の生活に満足していますか(韩龙飞 カン リュウヒ)

◆<午後部第1位>夢に向かってチャレンジしよう!  金 明姫 (韓国)

皆さん、納豆を食べたことがありますか。たぶん一度は食べたことがあるんじゃないでしょうか。そして、どうやって食べるともっとおいしくなるか知っていますか。私は日本に来てから初めて食べたものが納豆で、とてもびっくりしました。納豆は、いつでも簡単に食べることができ、値段もやすいです。特にネバネバするのは健康に良いそうです。何よりも頭にいいと言われています。韓国にも納豆のような清麹醤(ちょんぐっじゃん)というものがありますが、匂いが納豆と同じように臭いためあまり食べませんでした。

司会進行もすべて留学生が行いました

ある日、一緒に住んでいる日本人の友達から納豆をすすめられました。その友達は、納豆をよく食べるので、一緒に食事をするためにも、慣れなければと思いました。もっとおいしく食べるため、インターネットで調べてみたら、納豆サンドイッチと納豆スパゲティのレシピを知りました。レシピどおりに作って食べてみたら、とても美味しかったです。この写真は私が作った納豆スパゲッティです。納豆の臭みをなくすためにパプリカやみずな、そしてちりめんじゃこを入れました。このスープは、きゅうりの冷菜(れんさい)という韓国の夏の食べ物です。
冷たい水にキュウリとワカメを入れて作ったもので、一緒に食べたら口の中の粘りがなくなりました。納豆スパゲティは、今、私が一番好きな食べ物です。

話は変わりますが、大学4年生の時のことです。就職をするため、英語を勉強していましたが、子供の時から英語は苦手なので、とても大変でした。それで、英語がすきになるために、学校の外国語センターで子供たちに英語を教えるボランティアに1年間参加しました。子供たちの一生懸命英語を覚える姿や楽しんで学んでいる姿をみて「英語は楽しく学ぶもの」と私の英語に対しての考え方が変わりました。
この経験がきっかけで、卒業後、英語塾の講師として働くことになりました。

皆さんには夢がありますか。私も夢のため、日本へ来ました。皆さんは自分の夢のため今、何をしていますか。みんな、それぞれ夢に向かって計画を立てていろいろな努力をしているでしょう。私も皆さんと同じように努力しながら、どんなことにもまずチャレンジしようと思っています。しかし、いやなことや苦しいことは必ずやってきます。その時、あきらめないでどう乗り越えればいいかを考えることが必要だと思います。

皆さんは納豆の話やボランティアに参加したことと夢の話が何の関係があると思いますか。私は夢のために、日本へ来ましたが、勉強すればするほど日本語がだんだん難しく感じ、食べものや毎日生活も簡単ではありません。でも、納豆をおいしく食べるため、工夫したことや英語がすきになるため、ボランティアに参加したことと同じように、これからも将来の夢をかなえるためにワクワクしながらまたチャレンジしようと考えています。そして、夢があるので頑張れます。皆さんも一緒に夢に向かってチャレンジしませんか。

◆<午後部第2位>私が今、日本で学んでいること    尹 海珍(韓国)

私は一人で何もできない人でした。むずかしいことはいつも両親がしてくれたし、両親ができないことは友だちが手伝ってくれました。今、考えてみれば、私は自分しか分からないわがままな人でした。21歳にもなりましたが、今までただ一度も料理を作ったり、洗濯したりすることがありませんでした。また、買いたいものはぜったい買いたいし、ほしいものは全部ほしがる人でした。このようだった私が両親も友だちもいない日本で一人で生きる方法を学んでいます。

日本に到着したはじめての夜、この広い東京の地にひとりだという悲しさとすべてのことを一人でしなければならないという恐ろしさで、毎日泣きながら寝ました。

応援団も元気です!

そうしたある日、一人で新大久保に行く電車に乗りました。その電車は学校から帰る中高生でいっぱいでした。何か恐ろしくなって「韓国に帰ってしまおうか…」と思いました。でも、それでは私が本当に何もできないばかになってしまうのではないか…と思って、強くなることを決心しました。

それからは一人でできることが多くなりました。できるようになって、自分で一番びっくりしていることは毎日、一人でご飯を作って洗濯をして家を掃除していることです。「何なの?そのくらい当たり前でしょう?」と笑う人もいるかもしれません。しかし、私にはとても大きい成長なのです。スーパーで品物を買う時もどれがもっと安いかなやむようになったし、ほしいものがあっても本当に必要なものだろうか…?ともう一度考えるようになりました。新しい友達と付き合うことが怖かった私が日本へ来て、新しい友達がたくさんできました。ロシアの友達、台湾の友達、イタリアの友達、もちろん韓国の友達も。一人で何もできなかった私がもう一人で何でもできる人になりました。まだ、たくさんのことが下手で足りないところが多いですが、少しずつ成長しています。 

私はここ東京に日本語の勉強で来ました。しかし、私は今、これよりももっと多くのことを学んでいます。

◆<午後部第3位>私の日本生活でのハプニング    朴頑植(韓国)

みなさんこんにちは。今から私は韓国から日本に来て半年間で経験したさまざまなこと、とくに食べ物と住んでいるところについて話します。

ショータイムに歌う胡さん

まずは日本において馴染み深いなっとうについてです。日本に来たばかりの時に午前クラスの友だちと一緒に回転ずしに行きました。すしを食べる途中で友達がなっとうずしを食べる姿を見ていると、その友達の顔はすごくおいしそうな顔だったんです。私もその顔を見てすぐなっとうずしを注文しました! そしてなっとうずしを私が食べたしゅんかん友だちは笑っていました。そして10秒間静かになりました。その友だちがすしを食べていたのは全部演技だったということが分かりました。「何じゃこりゃ!まずいな」と言って、あやうく友だちをなぐるところでした。だから、私はなっとうにあまりいいイメージがありません。でも、1ヶ月前にお金がなくて仕方なくなっとうを買いました。これがきっかけで、今はなっとうのあじがだんだんすきになってよく食べるようになりました。これで私も半分日本人かな……。

次は住んでいるところです。私は日本に来てからシェアハウスに住んでいます。まず、シェアハウスというのをみなさん知っていますか?一つの建物に色々な国の人が一緒に住んでいるんですよ。アメリカ、フランス、メキシコ、そして日本人もたくさんいます。私が日本に来て初めてこのハウスに来た時はまだ会話もままならず大変でした。でもあえてきびしい環境に身をおくことで、私の会話力はどんどん上達していきました。なぜなら、まわりが日本語の先生だらけだからです。おかげさまで会話力は身につきましたが、学校の勉強をおこたっていたためか、漢字や文法はにがてです。みなさん、ちゃんと学校に行って勉強しましょう!!私みたいになっちゃいますよ。

みなさん、なっとうがきらいですか。学校に行きたくないですか。ダメですよ。自分のけんこうのために、自分のみらいのために、りょうしんのために、ぜひなっとうをたべてがっこうへいきましょう。そうしないと、お母さんがなきますよ。
私のスピーチをきいていただいて、どうもありがとうございます。

◆<午後部特別賞>今の生活に満足していますか    韩龙飞(中国)

皆さんは今の生活に満足していますか。もしあまり考えずに答えたら、多くの人の答えは「不満足」に違いないでしょう。私はその質問をされた時、「え~」と言ったまま、しばらく黙り込んでしまいました。そして、なんとなく自分の少年時代のことを思い出しました。

私は小さい頃からわがままいっぱいに育てられました。親は私を甘やかしすぎて、ほとんど何もやらせないので、家事などは全然しませんでした。このような自由で気ままで豊かな生活をしていた私は世界で一番幸せな子供だと思います。

1位になったキムさん

ところが、成長して大人になるとともに、このような考え方がすこしずつ変わってきました。なぜなら、自分がほしいものを手に入れられなかったからです。たとえば、ほかの仲間はブランドの服を着たり、毎日肉を食べたりします。そして使うものは全部いいものです。私は仲間の生活に憧れて、親に「ほしいのに、なんで買ってくれないの」と文句ばかりを言いました。どうして私がほしいものを買ってくれないのかその時はよくわかりませんでした。そして、私は一番不幸な人だと考えるようになりました。

しかし、時間が経つにつれて、いやなことは忘れてしまいました。そんなある日、暇つぶしにテレビ番組を見てから、私の以前の考え方はすべて変わりました。この番組は「たけしJapan」という番組で、ゲストとしてゾマホンさんというアフリカ出身の方が出ていました。その時、なんかこの人はえらいなと思って、それでインタ^ネットでこの人のプロフィールを探しました。

さて、ゾマホンさんは一体どんな人でしょうか。彼は数年前「ここがへんだよ日本人」という番組に出演し、そのおかげで2冊の本を出版できて、それがベストセラーになりました。一方で、そのもらったお金をすべて使って学校を母国に建設しました。そして彼の影響で、たくさんの人が世界中貧しい人を支援する計画に参加するようになりました。実はゾマホンさんは日本で住んでいるアパートにトイレさえついていませんでした。せまくてやすくて自分の生活もぎりぎりで生活費用を節約して残っているお金を全部貧しい人に寄付しました。いろいろなことをしたりするのを見て私は感動しました。

ゾマホンさんの話によれば、世界中多くの人が貧乏な状態に落ち込んでいるということです。世界の貧しい子供たち、特にアフリカには学校に行きたくても行けない子供がたくさんいます。彼らは基本的な教育も受けられません。そして、現在アフリカでは毎日8000人もの人がなくなっています。その大きな原因はきれいな水を飲むことができないからです。ご飯も食べられない人もたくさんいます。

この状況を知って皆さんはどう考えますか。私はこの状況を知ってから、今の生活に対して大満足と考えるようになりました。そして自分の力でできることで貧しい人を助けたいという気持ちがすごく沸いてきました。

さて、皆さんは現在の恵まれている生活についてどう思いますか。私の国には「満足しているものは常に幸福である」ということわざがあります。すると、世界中教育が受けられなくて、ご飯も食べられない人に比べて、私たちはとても幸せだと思います。
自分の生活について、皆さん一緒に一度よく考えてみませんか。

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